研究課題/領域番号 |
10307043
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30014161)
|
研究分担者 |
太田 正人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70313228)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80251544)
池田 正明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20193211)
|
キーワード | 頭蓋冠 / 中胚葉 / 頭部神経堤細胞 / 頭蓋縫合 / Wnt-1遺伝子 |
研究概要 |
体部の骨格が中胚葉由来であるのに対して、頭部の骨格には中胚葉とともに頭部神経堤細胞が関与する。トリでは、ウズラとニワトリの組織移植を用いた検討より、頭蓋冠の大部分が神経堤細胞由来であると示唆された。すなわち、前頭骨と頭頂骨は神経堤細胞由来であり、後頭骨は中胚葉由来であった。しかしながら、哺乳類では、子宮内にある胎児への操作性の問題から、両組織の頭蓋冠への関与についてはその検討が不可能であった。 Wnt-1遺伝子は、発生期では頭部神経堤細胞が発現する時期に神経堤を含めた神経板で発現し、胎生期を通じて他の組織での発現が見られない。これを利用し、Wnt-1遺伝子を発現した細胞(この場合は神経堤細胞)ではベータガラクトシダーゼが永久的に発現されるようになる遺伝子改変マウスを用いて神経堤細胞の分化運命を追跡し、頭蓋冠骨の由来組織を検討した。その結果、前頭骨は神経堤細胞由来(βガラクトシダーゼ+)であり、頭頂骨は中胚葉由来(βガラクトシダーゼ-)、後頭骨はその大部分が中胚葉由来であるが、神経堤細胞の関与も認められた。 これより胎齢を遡り、組織の明瞭な境界、すなわち前頭骨(神経堤細胞)と頭頂骨(中胚葉)の境界を構成する冠状縫合部の形成位置が発生段階のどの時期に成立するかを検討すると、神経堤細胞の移動直後、すなわち胎齢9.5日にはその境界が存在することが明らかとなった。さらに、頭部神経堤細胞移動前に頭部中胚葉を蛍光色素で標識し、全胚培養法にて神経堤細胞の移動が終了するまで培養すると、標識された細胞(中胚葉)は前頭鼻隆起間葉、すなわち移動した神経堤細胞の後方に存在していた。このように、頭蓋冠の骨の形成位置のパターンは胎生期の比較的初期に決定されることを明らかにした
|