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1998 年度 実績報告書

鼻口腔咽頭容積の変化に伴う口腔機能の適応

研究課題

研究課題/領域番号 10307052
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

黒田 敬之  東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10013939)

研究分担者 小野 卓史  東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30221857)
加藤 嘉之  東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30224554)
鈴木 聖一  東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (90187732)
キーワード鼻口腔咽頭容積 / 外科的矯正治療 / 下顎骨後方移動術 / オトガイ舌筋 / 呼吸 / 上気道 / 骨新生 / rhBMP
研究概要

当該研究課題遂行の端緒として様々な方向からのアプローチを基礎実験として行い以下の知見を得た。
A-1) 鼻口腔咽頭容積の減少モデルとして、骨格性下顎前突症患者に施行される下顎骨後方移動術を想定している。この下顎骨の後方移動により上気道の狭窄が生じるが、これは個体の生命維持に重大な影響を与えることが考えられる。しかしながら個体はある種の適応反応を示し順応していくものと思われる。一方、主要な舌突出筋であるオトガイ舌筋は呼吸に伴うリズミカルな活動を示すとともに、上気道の呼吸機能に対する外来刺激(炭酸ガス濃度や陰圧など)によってその呼吸性活動が賦活化されることが知られている。しかしながら、ヒトオトガイ舌筋にいかなる呼吸機能を持つ単一運動単位が存在するかはこれまで全く知られていない。我々はこのオトガイ舌筋運動単位のうち呼吸性リズム発射活動を示す運動単位(ユニット)を検索した。その結果、ヒトオトガイ舌筋には少なくとも2種類の呼吸性ユニットが存在し、安静呼吸時の発火パタンから吸息相・呼息相のいずれにも発火する吸息/呼息ユニットと、吸息相にのみ発火する吸息ユニットに分類された。これらのユニットは頭位の変化に伴い発火頻度を変調した。すなわち両者ともに頭部の後屈に伴い増加し前屈に伴い減少した。発射間隔とその標準偏差に関して統計学的に有意差が示されたことからこれら2種類のユニットが機能的に異なる集団を形成することが示唆された。
A-2) 骨格性下顎前突症患者に施行される下顎骨後方移動術の手術前後における舌・舌骨を含めた上部気道の形態・位置変化を術後一定期間にわたって男女別に調べた。下顎後退術直前、術後3ヵ月・6ヵ月・1年の時点において、頭位を一定に規定し呼気相直後に側面頭部X線規格写真を撮影した。この解析から舌・舌骨を含めた上気道部の形態には経時的な適応性の変化が生じ、この変化には性差があることが示唆された。さらに、術後矯正期間中には男女とも同様な前歯歯軸および下顎骨の位置変化を示したことから、前述のような舌・舌骨を含めた上気道形態に経時的な適応性変化が生じ、この変化には性差があるものの、術後矯正期間中には同様の治療を行うことによって咬合の安定を図っていることが示された。
A-3) Cervical Headgear装着によって頭部の前屈と上気道の狭窄が起こるが、これに対応して頭頚部諸筋の筋活動の変化、下顎安静位の前方移動などが生じることが明らかになった。
B-1) 鼻口腔咽頭容積の増大モデルとして、骨延長法による下顎骨の延長を想定している。このpilot studyとして、新生骨への歯の移動に関する組織学的検討を行った。新生骨の誘導にはrecombinant human bone morphogenetic protein(rhBMP)を用いた。その結果、rhBMPによる活発な骨新生を認め、これは自家海綿骨移植による骨新生に比較して活発であった。rhBMP濃度の調節により新生骨への円滑な歯の移動が可能であった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 檜山成寿,小野卓史,他: "Cervical headgear装着に伴う口腔咽頭領域の形態変化" Orthod.Waves. 57. 77-82 (1998)

  • [文献書誌] 川元龍夫,本橋信義,他: "開咬ならびに下顎非対称を伴う骨格性下顎前突症7症例の術後の顎態変化" 日顎変形誌. 8. 203-212 (1998)

  • [文献書誌] Ono T,Ishiwata Y,et al.: "Swallowing-related perihypoglossal neurons projecting to hypoglossal motoneurons in the cat" J.Dent.Res. 77. 351-360 (1998)

  • [文献書誌] Ono T,Ishiwata Y,et al.: "Inhibition of masseteric electromyographic activity during oral respiration" Am.J.Orthod.Dentofac.Orthop.113. 518-525 (1998)

  • [文献書誌] Ono T,Ishiwata Y,et al.: "Modulation of the inspiratory-related activity of hypoglossal premotor neurons during ingestion and rejection in the decerebrate cat" J.Neurophysiol.80. 48-58 (1998)

  • [文献書誌] Nakagawa F,Ono T,et al.: "Morphologic changes in the upper airway structure following surgical correction of mandibular prognathism" Int.J.Adult Orthod.Orthognath.Surg.13. 299-306 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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