研究分担者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70239490)
山崎 和久 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (00182478)
古賀 敏比古 九州大学, 歯学部, 教授 (10037541)
大塚 吉兵衛 日本大学, 歯学部, 教授 (50059995)
斎藤 和子 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (30008247)
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研究概要 |
歯周病においてリンパ球,マクロファージ,線維芽細胞,上皮細胞および細胞外マトリックスがどのようなコミュニケーションを行い,サイトカインネットワークと細胞接着ネットワークを構成しているか,さらにアポトーシスとの関連,およびこれらに対する歯周病原菌の影響などについて検討した.IL-1βの刺激によるヒト歯肉線維芽細胞のICAM-1発現はPGE2およびPGI2によって調節されることが示唆された.炎症歯肉組織中のリンパ球では,アポトーシス抑制分子の作用によってIL-1変換酵素の産生が抑制され,アポトーシスが回避されることが示唆された.上皮細胞は付着する細胞外マトリックスの違いにより,異なった代謝を行っている可能性が考えられた.bFGFの刺激によりヒト歯根膜細胞や歯肉線維芽細胞のコラーゲン産生量およびタイプIコラーゲンmRNAレベルが低下することが明らかになり,炎症歯肉組織の上皮細胞間隙に浸潤している炎症細胞に面している細胞膜にはカドヘリンの発現が減弱ないし消失していることが示唆された.また,歯周病康菌によってヒト単球に走化性因子の産生やmRNAの発現が促進され,細菌の種類によって,TNF-α,IL-6やIL-1βの産生量が異なり,細菌の影響によってT細胞からINF-γやIL-13の産生が増強されることなどが明らかになった.さらに実験的にラット歯周組織にLPSを浸透投与すると,接合上皮細胞にCINC-2αやMIP-2などのCXC-ケモカインの産生が生じ,これらのケモカインが歯周組織の破壊誘導に重要な役割を担うことの可能性が示唆された.以上の知見について今後さらに詳細に検討する.
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