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1998 年度 実績報告書

脳・免疫相関の機能と細胞・分子機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10307055
研究種目

基盤研究(A)

研究機関北海道大学

研究代表者

野村 靖幸  北海道大学, 大学院薬学研究科, 教授 (00034041)

研究分担者 上原 孝  北海道大学, 大学院薬学研究科, 助手 (00261321)
村山 俊彦  北海道大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (90174317)
大熊 康修  北海道大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20127939)
キーワード低酸素ストレス / ニューロン死 / グリア細胞 / HSP70 / 耐性 / p38MAPキナーゼ
研究概要

一般に,ニューロンは脳虚血に対して脆弱であり,再開通後にアポトーシス様あるいはネクローシス様のニューロン死が惹起されることが知られている.一方,アストロサイトをはじめとするグリア細胞はこのようなストレスに対して抵抗性を示し,様々な因子(IL-6やニューロトロフィンなと)を産生することでニューロンの保護や自身の増殖を促す.このようにニューロンとグリアでは虚血ストレスに対する反応がまったく異なっており,ストレス受容機構あるいはストレス反応機構に違いがあることが予想される.また,ストレス蛋白質であるHSP70やGRP78などが脳虚血ストレス負荷によって発現することが明らかとなっている.そこで私たちは,これらの蛋白質をはじめとする脳虚血によって誘導または産生が亢進する分子に注目し,ラット初代培養アストロサイトに対して虚血ストレスの一つである低酸素(2%,O2)/再酸素化ストレスを負荷し,その発現様式と機構について解析した.まず,低酸素/再酸素化ストレス負荷による各種ストレス蛋白質の誘導についてウェスタンブロット解析を行った.低酸素48時間処理後,再酸素化に伴って,HSP70は低酸素48時間後からその発現が若干増加し,その後,再酸素化48時間まで増加し続けた.一方,この時,HSP27に変動はまったく見られなかった.つぎに,そのmRNA発現についてRT-PCR法によって調べた.HSP70mRNAは低酸素負荷後48時間から有意な上昇が認められ,低酸素負荷後6時間まで高レベルを維持し,12時間ではbasalレベルに戻っていた.これらのことから,HSP70の低酸素/再酸素化ストレス負荷による発現の上昇は,低酸素ストレスによるものであることが示唆された.これらの発現機構に対してどのような細胞内情報伝達系が関与しているのか,種々の阻害薬を用いて検討をしたところ,p38MAP kinase選択的阻害薬であるSB203580処理によって,低酸素ストレスによるHSP70発現が濃度依存的に抑制されることを見い出した.さらには,低酸素ストレスはp38MAP kinaseの持続的な活性化を引き起こすことを明らかにした.したがって,低酸素ストレスはp38MAP kinaseを介してHSP70発現を誘導することが示唆された.

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Murayam, T.et al: "Regulation of inducible NO synthase expression by endothelin in primary cultured glial cells." Life Sci.62・17/18. 1491-1495 (1998)

  • [文献書誌] Yoshinaga,N.et al: "Death by a dopaminergic neurotoxin, 1-methyl-4-phenylpyridinium ion (MPP^+) and protection by EGF in GH3 Cells." Brain Res.794. 137-142 (1998)

  • [文献書誌] Uehara,T.et al: "Induction of cytokine-induced neutrophil chemoattractant in response to various stresses in rat C6 glioma cells." Brain Res.790. 284-292 (1998)

  • [文献書誌] Miyakoshi,M.et al: "Regulation of cyclic GMP and cyclic AMP production by S-nitroso-cysteine in rat thymocytes." Europ.J.Pharmacol.359. 235-241 (1998)

  • [文献書誌] Araya,R.et al: "Hypoxia induces apoptosis human neuroblastoma SK-N-NC cells caspase activation accompanying cytochrome C release from mitochondria." FEBS Lett.439. 168-172 (1998)

  • [文献書誌] Uehara,T.et al: "Caspase activation accompanying cytochrome C release from mitochondria possibly involved in nitric oxide-induced neuronal apoptosis in SH-SY5Y cells." J.Neurochem.72・1. 196-205 (1999)

  • [文献書誌] 野村靖幸: "アストロサイトにおけるNO合成酵素の誘導と脳ニューロン死, 「脳機能の解明」(赤池紀扶 編)" 九州大学出版会, 10 (1998)

  • [文献書誌] 野村靖幸: "脳NO:グリア・ニューロン相関における死のメッセンジャー, 「心血管病態とNO」(島田和幸ら 編)" 金芳堂, 10 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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