研究概要 |
本年は心不全発症初期の心筋興奮収縮連関におけるカルシウムシグナリング、虚結心筋保護のメカニズム、電位依存性性L型Ca^<2+>チャネルの機能制御機構、βアドレナリン受容体の脱感作機構に関する研究を遂行し、下記の実績を得た。 1)冠状動脈結刹心不全モデルラットの心不全発症初期の心室筋細胞で心不全発症初期に細胞内カルシウム・ハンドリングが亢進しており、特にNa^+-Ca^<2+>交換体の活性が上昇していることを見出した(論文投稿中)。2)虚血心筋保護に関連して、酸化ストレスにより三量体G蛋白質(GiαおよびGoα)が直接に活性化され、ERKの活性化を介して細胞傷害の保護に働くことを見出した(Nishida,et al.,Nature,408:492,2000)。3)電位依存性L型Ca^<2+>チャネルのポアを形成すると推定されているドメインにカルシウム拮抗薬およびカルシウムチャネル・アゴニストの結合に重要なアミノ酸を同定し、L型Ca^<2+>チャネルのゲーティング機構について新たな概念を開いた(Yamaguchi et al.,J.Biol,Chem.275:41504,2000)。4)電位依存性L型Ca^<2+>チャネルのプロテインキナーゼAによるL型Ca^<2+>チャネル電流密度の増大に関わるアミノ酸を同定し、さらに他のドメインを介してCa^<2+>チャネル活性化の閾膜電位が低下することを示した(Naguro,et al.,FEBS Letters,489:87,2001)。5)β_1アドレナリン受容体サブタイプはβ2サブタイプに比べてアゴニストで刺激しても、細胞内への移行(インターナリゼーション)が起きにくいのはβ-arrestinとの結合親和性が低いためであることを明らかにした(Shiina et al.,J.Biol.Chem.,275:29082,2000)。
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