研究概要 |
本年度は,プログラムはライブラリ関数の組合せによって構成されるものと考え,それを再利用するための適切な粒度の表現モデルとして,関数呼び出し依存グラフを提案した. また,この関数呼び出し依存グラフを用いて,ライブラリ関数の組合せを示唆するコード断片を,膨大なソースプログラム群の中から効率的に検索する手法を提案した.この手法は,ライブラリ関数の組合せを表現した複雑な問い合わせを行なうことができる点,より適したコード断片へ向かって選択的な探索を行なうことができる点などにおいて,UNIXにおいて広く用いられている文字列検索ツールgrep等に比べ優位である.その結果,目的とするコード断片を効率的に見つけることが可能となった.この結果に関しては, 三浦 良.山本 晋一郎.阿草 清滋: プログラムパターンの段階的抽出手法 日本ソフトウェア科学会FOSE 98.pp.181 188(1998/11) において,発表した. 関数呼び出し依存グラフの応用として,これらの手法を用いた新たなるプログラム開発環境の形としてプログラミングナビゲーションシステムを提案した.このシステムは,過去の優れたプログラムに蓄積されたプログラミングのノウハウを継承しながら,効率よく新たなプログラムを作成することを目的としている.
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