研究概要 |
本研究の目的は,オブジェクトのアウェアネス(Awareness)を基準として,情報システムを評価し,システムユーザを支援する技術を開発することにある.本年度に得られた主な成果は次のとおり. 1.ユーザ支援システムの実装…平成11年度に作成したプロトタイプシステムとその評価結果に基づいて,ソフトウェアオブジェクト(機能)の利用状況に関する情報をユーザに提供するシステムを設計,実装した.具体的には,ユーザが短時間で有用機能を発見する支援を目的とし,機能実行履歴に含まれる有用機能の候補を提示するシステムを実現した.システムは,ユーザへ提示する情報量を削減し,かつ,有用機能をなるべく多く含むよう次のような特徴を持つ. ・提示する各機能に対する付加情報を「他ユーザによる実行率(その機能を実行したことのあるユーザの割合)」だけに限定する. ・提示機能数自体を小さくするために,履歴参照ユーザ自身が数回以上実行した機能はそのユーザにとって既知の機能とみなし提示しない. 2.ユーザ支援システムの評価…Microsoft Word2000,及び,PowerPoint2000を対象とした評価実験の結果,のべ9人の被験者は平均63.4個の機能を有用な機能の候補としてシステムより提示され、そのうちの16.1個の未知機能を発見することができた.また、発見した未知機能のうち、被験者が自分にとって有用であると答えた機能の割合の平均は,Wordで39.2%,PowerPointで46.3%であった.
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