研究概要 |
筑波大学において、方解石偏光分離板と光ファイバー列、分光器を組合せ、GAMMA-10ミラープラズマのセントラル部からの不純物イオン発光線を、そのπ、σ偏光成分に分離して観測した。空間的には約1cmの分解能、時間的には33ms毎に10msの積分を行なった。本年度はどの発光線に偏光が観測されるかを知るために広い波長範囲にわたってサーベイした。偏光が観測された発光線は酸素の1価、4価イオンのほか、鉄やクロムの中性線、1価のイオン線であった。偏光度は1cm程度のスケール長で変化しているような兆候が見えた。これは電子速度分布関数は磁場と垂直方向にその程度のスケール長で変化していることを示唆する。京都大学WT-3トカマクに対しては、分光器入りロスリット前に水平方向のスリットを置き、プラズマからの光を0.5mm角に切り出した。方解石偏光分離板によってπ、σ偏光成分を上下方向に約0.7mm分離し、CCD受光面上でπ、σ偏光成分のスペクトルを上下に結像した。ある程度の波長範囲をサーベイしたが、偏光が観測されたのばベリリウム様の酸素、窒素イオン発光線と酸素、窒素、弗素の1価イオン線であった。そのうち、ベリリウム様酸素イオンの3重項発光線(2s3S@S13@E1S@S21@E2-2s3p@S13@E1P@S20,1,2@E2)を定量的に取り扱った。原理的に無偏光である(J=1-J=0)発光線を用いて、分光系の偏光成分に対する相対感度が14%異なっていることを確認し、その値を用いて他の2本の発光線の偏光度(縦アラインメント)を決定した。ある条件のもとで(J=1-J=1、2)線の縦アラインメントは-0.005,-0.032であった。電子速度分布関数がトロイダル方向とポロイダル方向で別々の温度で記述されるという近似のもおTにポピュレーション・アライメント衝突・輻射モデルを解した。トロイダル温度10eV,ポロイダル温度100eVという極端な非等方性を仮定しても偏光度の実験値を再現することはできなかった。
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