研究課題/領域番号 |
10308018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高瀬 雄一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70292828)
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研究分担者 |
関 哲夫 核融合科学研究所, プラズマ過熱研究系, 助手 (60260048)
白岩 俊一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手
江尻 晶 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30249966)
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キーワード | 球状トカマク / ST / 高周波加熱 / RF / 波動 / 速波 / HHFW / コムラインアンテナ |
研究概要 |
球状トカマク(ST)は小型装置で高性能プラズマを生成できるが、その最重要課題は非誘導法によるプラズマ電流の立ち上げ、維持である。イオンサイクロトロン高調波帯の速波(HHFW)は、極めて高い誘電率を持つSTプラズマでも良好な伝播・吸収特性をもつ。本研究ではHHFWの励起・伝播・吸収特性を調べることを主目的とした。このためにはHHFWの励起に必要な高密度・吸収に必要な高電子温度を持つプラズマの発生・維持が不可欠である。このためTST-2装置を製作し、必要な密度・電子温度をもつプラズマの生成を達成した。波動励起のためには、コムラインアンテナと呼ばれる進行波アンテナを採用した。モックアップアンテナによる最適化に基づき、実験用には6本のアンテナ要素から成るアンテナを製作した。波動の受信には真空容器内壁の各所にとりつけた磁気プローブを用いた。プラズマの成長とともにプラズマの負荷抵抗は変化し、予想通りプラズマ電流が最大になるところで最大値に達した。トーラス内側(強磁場側)の壁では波動のトロイダル方向の非一様性は弱く5dB程度であり、鉛直方向の非一様性はさらに弱かった。これに対し、弱磁場側と強磁場側の非対称性は大きく、トーラス外側のプローブは内側のプローブより10-15dBほど大きな信号を得た。これらの結果はTASK/WM全波コードによる計算結果と一致する。また1kWの電子サイクロトロン波によるプラズマを生成し、1.2kAのプラズマ電流を得ることに成功した。鉛直方向にミラー磁場配位を作っておくと、電離によって生成された電子はミラー磁場に捕獲され、そのドリフト運動によりプラズマ電流が生成され、圧力駆動電流が流れると解釈される。このように高周波波動でプラズマを生成し、プラズマ電流を立ち上げることができれば、中心ソレノイドは不要となり、STの核融合炉として魅力が格段と高まる。
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