研究課題/領域番号 |
10308022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中沢 正治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00010976)
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研究分担者 |
河原林 順 名古屋大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80283414)
福田 大治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90312991)
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70216753)
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キーワード | 光 / イオンビーム / 荷電粒子 / HPD / 2次電子放出 / DLC / MSGC |
研究概要 |
電子ビーム・イオンビームを用いる最近の最近の加工技術はすでに10nm程度の像分解能に達しており、単電子デバイスや原子スケールの現象をとらえるのに十分な性能を有している。現在の放射線検出器においては、μm以下の位置分解能を有する位置検出器はほとんどなく、高い位置分解能が必要な場合は放射線源の方を細く絞ることが行われている。しかし、ビームを絞り込んだ場合、ビーム強度に制限を受けることや、測定時間が長くなる等の問題が生じる。本研究では微細加工技術を用いて、ガス検出器と2次電子放出を組み合わせたハイブリッド型の構造により信号増幅を行い、高位置分解能の位置検出器を開発することを目的として研究を進めている。本年度は、高位置分解能と高増幅度を両立させる新しいグリッド制御型のMSGCを考案し、設計・試作を行った。この結果、従来のMSGCの性能を飛躍的に高めることができ、アノードピッチ400μmの検出器を増幅度10^4以上で安定に動作させることができた。また、ハイブリッド型のアプローチについては、検出部から放出された2次電子を3kV程度まで加速し、0.1μm厚の窒化シリコンの薄膜を通して窓なしのフォトダイオードに入射させて、検出を行ったところ、2keV程度のエネルギーロスがあるものの、2次電子を真空中からガス増幅器へ導くことが可能であることを確かめた。以上により、2次電子放出とガス検出器を組み合わせるハイブリッド型検出器の基本的な動作が確かめられた。今後は、これを組み合わせて検出器全体の特性評価を行っていく予定であるが、同時に新たに考案したグリッド制御型のMSGCについても大変有望であると考えられるので、その分解能を更に高めて、MSGCの基板面から放出される2次電子を利用するなど新たな利用法についても併せて検討を行い、実現可能な分解能について評価検討を行っていくこととしたい。
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