研究分担者 |
原田 浩幸 熊本大学, 工学部, 助教授 (20222234)
尾田 太良 熊本大学, 理学部, 教授 (60108454)
溝上 章志 熊本大学, 工学部, 教授 (20135403)
鈴木 敦巳 熊本大学, 工学部, 教授 (50040390)
古川 憲治 熊本大学, 工学部, 教授 (60029296)
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研究概要 |
1. 有明海の白川・緑川河口域の模型を製作し、潮流特性の実験を開始した。また、実験に対する潮流の数値計算を実施し、河川流量変化、潮位変動等に伴う流況特性の把握と、移流物質の拡散状況を数値的に検討した。また、澪の形成や干潟の成長など底泥の移動を調べる数値計算手法の大枠を作成した。 2. 有明海湾口部を中心に、湾奥部、八代海、及び東京湾の底質の物理・化学的性質に関するデータを収集し、これらの内、4海域共に調査され、しかも互いに独立性の高い性質(泥分、硫化物、COD/泥分、COD/Ig)を説明変数としてクラスター分析を行った結果、底質は、ほぼ7つのタイプに分類され、しかもそれぞれのタイプによってた底生動物の主要出現種が異なっていることが明らかにされた。 3. 緑川河口の干潟の脱窒能を明らかにするために、アセチレンブロック法にて干潟土壌の脱窒能を測定した.脱窒速度がN03-N濃度とTOC濃度に関してMichaelis-Menten式を用いて説明できることを明らかにし、これをもとに現場での干潟の脱窒能を推定した。また、底生動物の脱窒反応に与える影響を有明海の底泥を充填したカラム実験で検討した。動物の排除操作によって硝化・脱窒速度は一端は減少するが再び増加し排除操作前と同様な値となった。これはORPなど物理化学環境が変化したためと思われた。底生動物の投入後は、生物かく乱の効果で表層が酸化状態に転じたが、物質移動と酸化ー還元の界面積の増加によって脱窒活性は高くなった。 4. 八代海ないし有明海の形成と環境変遷を解明することを目的として,既存及び新たに採取した海底柱状堆積物を使用した.今年度は,有明海の海底柱状堆積物を3本採取するともに,八代海の堆積物からの微化石の検討を行い,更に時間軸の設定のために14Cによる年代測定を行った.その結果,24,000年前の火砕流堆積物の上位に非海成層の堆積物が堆積し,約9,500年前から海成層へと変遷していることが明らかになった.海水準が低下した最終氷期の約2万年前から海水準の上昇に伴って,9,500年前に八代海に海水が侵入したとの新知見が得られた。 5. 自然環境・観光資源の評価を行うために,(1) 当該地域への訪問需要の予測モデルと,(2) 環境質の価値評価のための経済的便益計測モデルの開発を行った.前者については,ネットワーク均衡理論を用いた自然観光地の魅力度と容量とを推計する方法を提案すると同時に,観光に特有の周遊行動を考慮できる観光交通需要予測システムの構築とその実用化に成功した.後者については,非市場財の代表的な経済評価手法を概観し,それらの問題点や適用可能性の考察を行った後,阿蘇地域の自然環境を享受するに当たっての来訪者の支払意志額を仮想評定法を用いて計測した. 6. 飛来塩分量の現地調査とともに海塩粒子の沈降、降雨の影響、防風ネット(防風林)を考慮した数値計算モデルを考案し、飛来塩分特性を気象条件・地形特性と関連して検討した。また、地形、風向などの空間的変動の要素を考慮出来るように3次元解析手法の大枠を作成した。
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