研究概要 |
1。 海産環状ポリエーテル天然物の生合成を規範とした合成経路の確立 当研究室で開発されたキレーションコントロールによるエポキシアルコールの閉環反応に常用しているランタントリフレートに代えて、関連のルイス酸での挙動をスクリーニングした。その結果、メトキシメチル基を有するエポキシアルコールの6-endo選択的閉環反応においてCH_2Cl_2中MS3A、MeOHの存在下、Gd(OTf)_3,Tb(OTf)_3,Dy(OTf)_3,Ho(OTf)_3がLa(OTf)_3の場合に比較し、6-endo選択的閉環反応の選択性が著しく向上し(endd選択性、〜89:11)、また短時間で定量的に進行することを見い出した。これらはほぼ不均一系で進行するが、反応種の解明のため、La(OTf)_3による均一系での反応条件を検討し、THF中MS3A、MeOHの存在下においても充分の6-endo選択性が発現することを見い出した。 2。貝毒ピンナトキシンの全合成研究 AG環部は生合成推定経路においてexo型分子内Diels-Alder反応で生成すると提案されている。我々はモデル分子を用い、キラルルイス酸の存在下、高い光学収率でのexo型付加物を選択的に生成する条件を確立し、AG環部の一挙構築に成功した。昨年度すでに完成しているBCDEF環部の一挙構築との組み合わせによってピンナトキシンAの全合成も目前である。 3。貝毒ペクテノトキシンの全合成研究 ペクテノトキシン類の共通の主フラグメントである34員環マクロライド構造の内でC8-C20部分の立体選択的構築に成功した。この環内に存在する二つのスピロアセタール部分をモデル化合物を用いて構築することに成功した。
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