嗅細胞は、匂い分子を受け取ると、cAMP をセカンドメッセンジャーとする細胞内情報伝達系が活性化し、イオンチャネルの開口によって受容器電位を発生する。その電位変化は反復性の活動電位の発生をトリガーし、匂い情報を脳へ伝達する。順応の情報も活動電位列に含まれる。この反復性活動電位発生のメカニズムを定量的に知るために、単離嗅細胞に電流注入による実験を行った。その結果、duration・発火頻度において多様な活動電位が観察された。これまでに、活動電位の発生にはNaチャネルとCaチャネルが共同して働くことを報告したが、波形・発火頻度に多大に寄与すると考えられる電位依存性カリウム電流とその活動電位発生への関与に関してはほとんど解析が行われていない。今回我々は、ホールセルパッチクランプ法を用いて、単離嗅細胞における電位依存性カリウム電流について詳細に検討した。その結果、少なくとも3種類、或いはそれ以上の電位依存性カリウム電流が存在することを見いだした。また、早く、一過性(数10秒)で減衰過程を示すカリウムチャネルが活動電位の反復性を形成することを示唆するデータを得た。
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