研究課題/領域番号 |
10309001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 哲生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (40175336)
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研究分担者 |
竹内 文也 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30281835)
平田 恵啓 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30250509)
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キーワード | 視知覚 / 視野闘争 / 脳 / 意識 / アウェアネス / 事象関連電位 / 脳波 |
研究概要 |
人間のように左右両眼の視野に重複部がある動物では、両眼視に固有の知覚過程が生ずる。この両眼視の機能の中で、両眼視野闘争(左右の眼に個別に与えられる異なる刺激が交互に知覚される過程)として知られている現象は、視覚的認知や意識を定量的に研究することのできる稀少な現象であるとの考えが受け入れられつつある。 本研究では、この両眼視野闘争における知覚図形の内的交替に関連する大脳皮質部位と神経活動を誘発電位並びにEvent-related Desynchronization(ERD)あるいはEvent-related Synchronization(ERS)として知られている自発脳波律動の変動から、非侵襲的に検討することを目的として行われた。被験者9名を対象に、知覚図形の内的交替を被験者のボタン押しにより決定し、これをトリガとして頭皮上20点の脳波α波分散、および事象関連電位の時空間変化について計測・検討を行った。また比較のため視野闘争過程を生じさせるのに用いた2つの競合する刺激を外的に交替させ、それに伴う脳波変動と刺激の交替とは関わらないボタン押しのみによる変動も計測した。視覚刺激は1°×1゚の縞刺激である。その結果、脳波α波分散については、後側頭から後頭にかけて約-500msからα波分散の減衰が始まり、約-250msに減衰ピークが見られた。一方、事象関連電位については、左頭頂から左後側頭において-400msから0msにかけて時間的にブロードな陰性の電位成分が見られた。脳波α波分散の減衰、および陰性電位成分共に知覚交替に関連した神経活動を反映すると推察された。 さらに、高分解能脳波計測法実現のため、事象関連電位を得る過程において加算平均後にも残存し、雑音の原因となる空間的な規則性の高い律動的な自発脳波成分を低減しSN比を向上させる新たな手法として主成分除去法を開発した。
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