研究概要 |
本研究では,生体安全性の高い生体用合金の開発を主たる目的として,Ti-Zr基合金の合金開発を行い,Ti-Zr-Nb三元合金系で高強度合金と低弾性率合金の開発を行った.前者では,Ti-Zr二元合金(両元素の原子比を1:1に固定)に比較的少量のNbを添加した合金に適当な熱処理を加えることによって,高強度合金化することができることを見出した.後者では,同じ二元合金に比較的高濃度のNbを添加し,β型低弾性率合金化することができることを見出したいずれの合金も既存の生体用チタン合金の力学的性質に比べて,実用化の可能性が高い諸特性を有していることを見出した. また,合金開発と平行して,引張強さだけでなく,ねじり強さを評価し,さらには組合せ(引張+ねじり)応力下での試験を行い,開発合金や既存の生体用チタン合金の評価を行った. さらに,これらの合金を引張疲労試験,ねじり疲労試験,組合せ応力疲労試験に供し,各疲労試験での疲労特性を評価するとともに,引張疲労寿命から,ねじり疲労寿命や組合せ応力疲労寿命を予測する可能性を検討し,提案した.具体的にはミゼス型の相当応力をバスキン則によって整理し,これに試験片の寸法効果を導入することによって適切な世寿命予測ができることを報告した.
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