1) 偏極度測定法の確立 偏極ビームの実用化に当たり、最も重要な点は、信頼ある偏極度測定法を確立することである。生成したオルソポジトロニウムが、pick-off効果によりバラポジトロニウムとして崩壊すること、および測定領域をはずれた場所で崩壊することにより、寿命を短縮させることが偏極度測定の障害になることが判明したので、この点を改良すべくまず測定領域をキャビティーで覆った。こうすることにより、偏極度測定の精度が向上するが、その定量的なつめを行っている。 2) ビームバンチ装置の製作 pick-offの原因がマルチチャネルプレート中におけるポジトロニウムの多重散乱によるものであるかどうかを検証するため、ビームをバンチすることにより寿命測定のスタート信号を発生させる方法を開発した。時間変動する電場により、ビームをチョツピング・バンチングして、1nsのパルス幅を持つバンチビームの生成に成功した。現在、引き続きその効率の改善を図るべく、リアクタンスの増大を図っている。 3) ビームプロファイル測定法の開発 微小ビームのプロファイルを測定するために、イメージングプレート法を実用化した。これにより数10ミクロンの精度で、ビームの形状が測定できるが、プレートの取り出しに真空を破る必要があり、引き続き効率的な取り出し方法を検討している。
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