研究課題/領域番号 |
10354010
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
向山 光昭 東京理科大学, 理学部, 教授 (60016003)
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研究分担者 |
椎名 勇 東京理科大学, 理学部, 講師 (40246690)
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キーワード | タキソール / 不斉全合成 / Knoevenagel反応 / 18-ヒドロキシタキソール / 19-ヒドロキシタキソール / 二価スズのトリフラート / 低原子価チタン / 連続的アルドール反応 |
研究概要 |
タキソールの不斉全合成においてすでに見い出した手法に基づき、18位あるいは19位にヒドロキシ基を有するタキソール類縁体を合成する検討を行っている。昨年度、モデル化合物である8員環状ケトンに対しアセトキシ酢酸メチルのジエノラートを作用させ、タキソールの炭素1位に相当する部位にヒドロキシ基とA環セグメントを導入することに成功しており、本年度はここで得られた前駆体の分子内Knoevenagel反応を利用して双環化合物を効率的に与える合成法の開発を試みた。まず、ピペリジンと酢酸を触媒として用いる一般的な反応条件を試みたところ、極微量ながら目的とする18-ヒドロキシタキソールのAB環部位に相当する双環化合物を得ることができたので、種々の検討を行い収率の向上を図った。その結果、フッ化セシウムを塩基として用いると目的の反応が非常に円滑に進行し、90%を越える収率で対応する環化体が生成することが分かった。ここで得られた化合物のエステル基の還元を行うことにより容易に18-ヒドロキシタキソールのAB環に導くことができるので、現在モデル実験によって得られた知見をもとに実際のタキソール中間体に対するジエノラートの付加反応および分子内Knoevenagel反応の検討を行い、18-ヒドロキシタキソールそのもののABC環部位の構築を試みている。 また、炭素19位にヒドロキシ基を持つタキソール類縁体の合成法として、昨年度ヨウ化サマリウム(II)を反応促進剤に用いるα、β-エポキシケトン類とアルデヒドとのビスアルドール形成反応を開発した。本年度はさらに新しいアプローチとして、二価スズのトリフラートと低原子価チタンを組み合わせ用いる連続的アルドール反応によってビスアルドールを与える新しい手法を開発することに成功したので、今後この反応を分子内環化反応に適用することで19-ヒドロキシタキソールのB環部を合成する予定である。
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