研究課題/領域番号 |
10355001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 茂夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026231)
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研究分担者 |
川上 養一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30214604)
中村 修二 日亜化学工業, 第二部門開発部, 主幹研究員
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キーワード | InGaN / 短波長発光ダイオード / 輻射再結合 / 非輻射再結合 / 外部量子効率 / 時間分解ホトルミネセンス / ツーフローOMVPE |
研究概要 |
本研究の目的は、超高効率の短波長発光ダイオードの開発である。そのために、本年度は、発光ダイオードの中で生じているミクロスコピックな光学遷移過程を明らかにすることを目指した。以下に、得られた結果を示す。 1. InNとGaNの二元結晶生成のギプス自由エネルギーをもとに、Inの混晶組成と基板温度、原料の供給比との関係を理論的に検討した。この結果を結晶成長で得られたInの混晶組成比と比較し、良い一致を見た。 2. ツーフロー型の有機金属気相成長を用いてInGaNを発光層とする短波長発光ダイオードの作製を行った。上記の結果とともに、原子層エピタキシーの採用などにより、InGaN発光層のIn組成の制御を幅広い範囲で行うことができ、紫外〜緑色の短波長領域にわたる高輝度発光ダイオードを作製し得た。さらに、紫外発光ダイオードにより蛍光体を発光させるという手法により、白色発光ダイオードも実現た。 3. In組成の小さい(2%)紫外発光ダイオードに着目して、光起電力、電界変調反射測定、および時間分解ホトルミネセンス測定により、輻射・非輻射再結合過程の評価を行った。その結果、70K以上の温度で励起子は局在を逃れ、輻射再結合寿命は三次元励起子の再結合過程を反映する挙動を示すことがわかった。発光ダイオードの外部量子効率はGaNを発光層とした場合の約10倍であり、わずかのInの混入により非輻射再結合中心が減少するかその起源が変わるのではないかと考えられ、今後この効果によって超高効率発光ダイオード開発につながりうるという見通しを得た。
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