研究課題/領域番号 |
10355003
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
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研究分担者 |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (10284225)
谷口 雅樹 広島大学, 理学部, 教授 (10126120)
八木 伸也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (20284226)
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キーワード | 共鳴発光分光 / 共鳴逆光電子分光 / 不等間隔回折格子 / 薄膜 / CCD素子 / 内殻準位 / 電子状態 |
研究概要 |
薄膜成長中の薄膜表面の電子状態を調べるための発光分光器の設計、製作を実施した。RHEED電子線による発光を分析する場合と1keV以下の低速電子線を用いた共鳴逆光電子分光実験、放射光照射による共鳴発光分光実験等が可能な装置とすることを目標とし、薄膜成長で用いられる半導体、金属の内殻発光を観測できるように60eV〜1000eVの発光を分光できる不等間隔回折格子を用いた設計を行った。 不等間隔回折格子は最近都立大学の研究グループが設計したものを用いた。この回折格子は低エネルギー用と高エネルギー用の2種類があり、2枚で数十eVから1.2keVまでの広いエネルギー範囲をカバーすることができる。結像特性が極めてシャープであるため見かけ上の発光点を小さくすることで、高いエネルギー分解能が期待できる。この発光分光器の機械的な設計においては、特定の内殻準位の光の位置に2次元光検出器を移動させてその周辺のスペクトルをマルチチャンネルで計測するための精密な電動ステージや回折格子の交換機構などが検討された。 光検出器はマルチチャンネルプレート(MCP)とCCD素子が検討された。回折格子の特性から、高い空間分解能を実現することで高いエネルギー分解能が期待できることから、本装置の場合はこれまでこの種の装置でよく用いられたMCPではなくCCD素子を用いることになった。CCD素子は高い量子効率を実現できる背面照射型が選定され、熱雑音を抑える目的で冷却可能なものとなっている。CCD素子の位置の再現性(ステージの機械精度)がエネルギーの再現性となってくるが、現在のところ標準的な元素の内殻準位を電子線励起により発光させてキャリブレーションを行う方式を検討中である。
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