研究課題/領域番号 |
10355005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 啓文 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40283626)
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研究分担者 |
渡辺 俊二 株式会社 ニコン, 相模原技術開発部, 研究員
藤井 透 株式会社 ニコン, 相模原技術開発部, 係長
堀内 俊寿 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10238785)
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キーワード | 近接場音響顕微鏡 / AFM / 音響力学物性 / 超音波 / FM検出法 / 位相同期ループ |
研究概要 |
本研究では、圧電薄膜を堆積した原子間力顕微鏡(AFM)微細加工カンチレバーを開発するとともに、AFM動作が可能でかつ局所音響力学情報を捉えることが可能な新たな近接場音響/原子間力(SNAM/AFM)複合顕微鏡を開発することを目的としている。 本年度の研究では、試料の音響力学情報をAFM動作での間欠接触モードにおける圧電薄膜カンチレバーの振動エネルギーの散逸量から測定することを試みた。この動作は、近年進展の著しい非接触AFMにおいて用いられ、高感度な検出法である周波数変調検出法(FM検出法)を適用することにより実現される。すなわち、カンチレバーの共振周波数の変化が試料の形状情報として、振幅変化が音響散逸情報として測定される。FM検出法は、カンチレバーの自励振動部と周波数シフト検出部の2つから構成される。カンチレバー自励振動部は、カンチレバーをその共振周波数で発振させる。試料表面の音響力学物性の変化によってカンチレバーの実効的なばね定数が変化するため、その共振周波数もまた変化する。この周波数変化が後段の周波数シフト検出部により測定され、AFMの主帰還信号として用いられる。一方、散逸情報は、自励振動部内の振幅制御系によって測定が可能となる。 さらに、周波数検出感度を向上するため、独自のFM検出回路を開発した。この回路では、周波数検出に位相同期ループ(PLL)回路を採用しているが、通常問題となる電圧制御発振器(VCO)の周波数安定性を改善するため水晶発振器を用いたVCO(VCXO)を用いた。これによって周波数安定度は0.01Hz(1kHz周波数帯域)と飛躍的に向上した。この回路を用いて、平坦処理を行ったSrTiO3(100)面の原子ステップ構造を観察することができ、本検出系が十分な感度をもつことが確認できた。
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