研究概要 |
一般に,噴流は,熱・物質の輸送,化学反応,そして噴霧・微粒化などのプロセスを伴うことが多く,流れの形態が機器の性能や安全性に密接に関連している.本研究では,ノズル出口において加えられる擾乱と大規模構造の発達に着目し,円形ノズル内部に装備された多数のミニチュア・アクチュエータによって高度にプログラム化された擾乱を生成して,噴流の多様な制御を可能とするインテリジェント・ノズルの基本設計,試作および評価を行うことを目的としている. 本年度は,まず,半導体プロセスを用いて比較的容易に実現できる駆動方式として,表面上に形成したコイルと下部に設置した永久磁石を用いた電磁気力を選択し,ポリイミドのプリント基板上に銅箔の電気回路パターンをエッチングしたプロトタイプを試作した. また,フラップ型アクチュエータの力学モデルを構築し,静特性・動特性の評価を行った.その結果,変断面複合梁モデル,1次元電磁場モデルによって,静的なフラップの変位,空気中での共振周波数が適切に予測できることを示した.また,フラップ周囲の3次元流れ場解析を行い,フラップに加わる流体反力を算出し,集中質点モデルによって水中での動特性が再現できることを示した. さらに,ノズル内部に18個のフラップ型電磁アクチュエータを装備したインテリジェント・ノズルのプロトタイプの試作を行った.また,製作したノズルを回流水槽に設置し,染料注入法による流れの可視化,LDVによる流速測定を行った.その結果,フラップの動作によって,噴流の3次元渦構造が大きく変化し,動作周波数を適切に選んだ場合には,混合が著しく促進されることを示した.また,広いレイノルズ数範囲において最適な無次元動作周波数が変化しないことを示した.さらに,ノズル外側に取り付けることが可能な,アクチュエータ群を試作し,ノズル側にアクチュエータを取り付けた場合と同等の制御結果が得られることを示した.
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