研究課題
基盤研究(A)
ミリ波は、霧、ダスト、炎等を透過できるなどの伝搬特性をもっている.これらの特性を利用することにより、他の電磁波のスペクトラムにはない特徴を有するイメージング技術を開発することができる.本研究は、このミリ波帯のパッシブ・イメージング技術の開発を目的として、平成10年度から3年間に亘って行われたものである.1.大気の伝搬特性(吸収、放射)を考慮して、パッシブ・モードの受信素子に要求される特性(雑音指数など)について詳細な理論検討を行い、実用的なイメージング技術の開発に関して十分な可能性を得るとともに、対象の周波数として大気伝搬の窓である35GHzを選択した.2.収差を少ないミリ波結像用の光学系を得るために、光線追跡法を採用し、非球面レンズを設計・製作(ポリエチレン製)した.3.イメージング素子用アンテナとして、パッシブ・イメージングに必須の広帯域性をもつフェルミアンテナを開発した.これは、我々の提案によるものでイメージング・アレイの素子間隔を、アンテナの指向性を保ったまま狭くできるものである(特許出願中).4.イメージング素子用低雑音・高利得増幅器を市販のMMICを用いて設計し、利得40dB、NF(雑音指数)7dBの4段増幅器を製作することに成功した.5.上の成果を基に、機械的走査法を併用して、空、200m先の建物などの外景、また人体(手、顔など)をイメージングすることに成功した.これらの成果は、火災時のロボット用、あるいは地雷検知用のセンサーなど多くの社会的な応用範囲をもっているものである.
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