研究概要 |
ラメラ組織を凝固方向に揃えたTi-47Al(以後組成は全てat.%)合金インゴットをTi-43Al-3Si合金の種結晶を用いた一方向凝固法によって製造することができる。Ti-47Al合金の凝固はβ相を初晶として始まるが、種結晶の一部を溶解し、Ti-47Al合金に接続して溶融帯を形成するとき、溶融帯のSi+Al量が、β相の晶出を抑え、種結晶からα相が連続的に成長できる程度に大きくなるためである。同様の凝固過程を経れば、Ti-47Al合金をベースに合金元素を添加した多元合金でも一方向凝固法によりラメラ組織の制御が可能となるはずである。ただし、合金元素の添加によって、液相/固相線の位置が、Ti-47Al合金のそれと著しく変っていないことが条件となる。したがって、一方向凝固法によってラメラ組織が制御できるよう、組成を設計する必要がある。我々は、「Al当量」という独自に開発した概念を用いてこの問題を解決した。合金元素X,Y,Z...の添加量とAl当量を、それぞれa,b,c...,Xeq,Yeq,Zeq...とすれば、次式にしたがって多元合金のAl量を決めれば、その合金の液相/固相線の位置はTi-47Al合金のそれと同じになる。このAl量が46<C_<Al><48であれば、10mm/hの凝固速度でラメラ組織が凝固方向に揃ってインゴットが得られる。 凝固がβ相初晶のデンドライトあるいはセル状成長によって起こる合金の場合には、TiAl-Mo-Si系およびTiAl-Mo-C系の種結晶を用いてラメラ組織を制御できる。Ti-46Al-1.5Mo-1.0〜l.5Si合金の一方向凝固に、ほぼ同じ組成の種結晶を用いて成功している。このような凝固過程を経る一方向凝固インゴットの特徴は、もとのβ相初晶のデンドライトあるいはセルの中核部にB2相を残していることである。一方向凝固インゴットの機械的性質上、B2相の存在が特に問題となる訳ではないが、B2相からクラックが形成されることも多く、望ましいことではない。 以上のような一方向凝固インゴットからゲージ長さ30mm、ゲージ部直径6mmのクリープ試験片を切りだし、クリープ試験を行った。
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