研究課題/領域番号 |
10355028
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高井 治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40110712)
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研究分担者 |
穂積 篤 名古屋工業技術研究所, セラミックス応用部, 研究員
井上 泰志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10252264)
杉村 博之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10293656)
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キーワード | 窒化炭素 / アークプラズマ / アモルファス / 超硬質材料 / シールド型アークイオンプレーテイング / ナノインデンテーション / 摺動特性 / 化学結合状態 |
研究概要 |
本研究では、我々がシールド型アークイオンプレーティング法を用いて合成に成功した超高硬度の窒化炭素薄膜を、ハードコーテイング材料として実用化するための基礎的研究を行うことを目的とした。本年度は、平成10年度に設備備品として購入したトライボスコープを用い、アモルファス窒化炭素(a-C:N)薄膜の硬度および摩耗特性の評価を行った。さらに、電界放射特性評価を行った。なお、同じ成膜手法を用いてアルゴン含有アモルファス炭素(a-C:Ar)薄膜を作製し、特性の比較を行った。 【化学結合状態】 sp混成比率およびN/C原子数比は、基板に印加するバイアスによって制御できた。しかし、これらの事象は独立でなく、過剰の負バイアス値によってsp^3混成成分の減少と窒素含有率の低下が同時に起こる。結晶性β-C_3N_4を多結晶状態で合成するには、sp^3結合と高い窒素含有率を同時に実現させなければならないため、今後、結合状態と窒素含有率を独立に制御するプロセス・作製条件を見出す必要がある。 【機械的特性】 トライボスコープによるナノレベルでの摩耗試験の結果、a-C:N膜がa-C:Ar膜よりはるかに優れた耐摩耗性を有することがわかった。特に、基板バイアス-300Vで作製したa-C:N膜は耐摩耗性が最も高く、今回の試験方法(荷重20μN,30回繰り返し)では摩耗が検出できないほどであった。A-C:N膜の優れた耐摩耗性には、C-N化学結合状態、特に窒素のβ-C_3N_4的結合成分が重要な役割を果していると考えられる。 【電界放射特性】 a-C:N膜は、約10V/μmという低いしきい値電界で電界放射現象を起こし、a-C:N膜の電界放射デバイスとしての応用の可能性が明らかとなった。また、低い負バイアス値で作製した膜の方が優れた電界放射特性を示した。
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