研究課題/領域番号 |
10355029
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
小林 俊郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90023324)
|
研究分担者 |
栗熊 勉 アイシン高丘株式会社, 技術開発研究所, 主担当研究
森田 繁樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (00314089)
戸田 裕之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (70293751)
|
キーワード | ADI / 加工熱処理 / 強靭化 / オーステナイト化温度 / 黒鉛粒径 / γプール / 靭性 / オーステンパ反応 |
研究概要 |
前年度においてADIの靭性に及ぼす加工熱処理時の圧延加工量,オーステンパ処理温度および時間の影響について明らかにした。本年度は、加工熱処理条件の最適化・高効率化を目的として、加工熱処理材の靭性に及ぼす黒鉛粒径およびオーステナイト化温度の影響に関する調査ならびに検討を行った。 供試材は、一方向凝固プロセスにより溶製された種々の黒鉛粒径を有する球状黒鉛鋳鉄、および合金元素を微量添加した球状黒鉛鋳鉄である。これらに種々の加工熱処理を施し、衝撃試験を行った。 加工熱処理を施したADIの靭性に及ぼす黒鉛粒径の影響は、従来フェライト基地球状黒鉛鋳鉄で報告されている結果とは異なり、およそ黒鉛粒径に存在しないことを確認した。他方で、ミクロ組織中に形成されるγプールと靭性の関係を詳細に解析した結果から、ADIの靭性は、主としてγプールの量に依存することを明らかにした。ただし、加工時に黒鉛粒間に形成せれるせん断帯は、後のベイニティック・フェライトの核生成サイトとして有効に作用するが、それと同時に割れを生じる場合がある。したがって、加工熱処理法はの実用化に際しては、黒鉛粒径に大きなものが望ましいと結論した。また、一般にオーステナイト化温度は1173Kであるが、オーステナイト化温度で圧延する場合、オーステナイト化温度が1073〜1173Kで、靭性が最大となることを確認した。オーステナイト化温度の低下は、オーステナイト中の炭素固溶限を減少させオーステンパ反応を加速する一方で、転位消滅による回復を抑制し、靭性を著しく向上させる。
|