研究課題/領域番号 |
10355032
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
秋鹿 研一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20016736)
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研究分担者 |
坂本 隆幸 東洋エンジニアリング株式会社, 技術研究所, 参事補(研究職)
稲津 晃司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (70272698)
泉 康雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (50251666)
小林 孝彰 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (90005984)
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キーワード | アンモニア合成 / ルテニウム触媒 / 促進剤効果 / 高圧水素処理 |
研究概要 |
当グループで原理を見出されたアンモニア合成用ルテニウム触媒は第二世代型工業用アンモニア合成触媒として、カナダ、米国で世界最大プラントの中に実用化されている。しかしながら新しい触媒のために発展の余地は多く、基礎的知見が求められている。 本研究ではRu-BaO/A.C.及びRu-CsOH/A.C.の実用条件下での挙動を検討した。これまで前者はアンモニア被毒が大きく、後者は水素被毒が大きい特徴のあることが知られていた。この特徴を生かすべく前者を管型反応器前段へ、後者を後段に設置すべき提案をしている。その上で更に両者の特性を向上すべく様々な試みが行われた。 Ru-CsOH/A.C.はRu/A.C.にCsNO_3を添加(含浸法)した後、水素化分解することにより活性触媒としているが、この際の活性化温度は50℃が最適であった。それより高温ではCsOHが飛散してしまうためと考えていた。しかしながら今回、高圧(1MPa)水素下で活性化を行ったところ、550℃処理まで活性が増加し、高圧処理が高活性化をもたらすことを明らかにした。 さらにRu-CsOH/A.C.は単独では水素被毒のために高圧下で活性が向上しないとされたきたが、このような処理を行ったものは、水素被毒も小さくなり、単独でも高圧下で反応を行うことができるようになった。 Ru/A.C.にBa(NO_3)_2を添加(含浸法)した後、水素化分解するが、その最適温度は550℃であり、それ以上高温では直ちに活性を失った。今回高圧(1MPa)で水素処理することによりやはり550℃が最適ではあるが、それ以上でもあまり失活せず、かつ以前の方法より2倍も高活性な状態とすることができた。 これまでは活性炭(A.C.)の種類によらずA.C.自体を高温(800℃)水素処理(第1の水素処理)すれば高活性担体となるとしてきた。Ru/A.C.の促進剤高圧活性化(第2の水素処理)の際にも、この効果は変わらないが、A.C.の種類によっては機械的強度の低いものも生ずることが分かった。 このように実用条件に合わせた触媒活性化の特徴を明らかにし、有効な方法を開発することに成功した。
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