高温超伝導体として知られているReBa_2CU_3O_<7-δ>(Re:希土類元素)セラミックスの線材に、室温で、ある値以上の電圧を印加すると、ホットスポット現象(線材の一部分のみが高温になり赤熱する現象)が現れる。ホットスポット発生後の電流は電圧には依存せず、雰囲気の酸素分圧に依存する。この特性を利用した定電流発生素子や酸素センサ等のデバイスの実用化が期待できる。 ホットスポット現象を利用したデバイスの小型化に向けて、線材の長さとホットスポットの発生との関連を調査した。線材を短くすると、ホットスポットが発生し難くなることが分かった。実用機能を有するデバイスの小型化には、材料の熱伝導率を低くすることが有効であることが分かった。 本材料の酸素欠損量δは、ホットスポットの発生に密接な関係がある。δは温度の上昇及び酸素分圧の低下に伴い増加する。そこで、雰囲気の酸素分圧を変化させたときのホットスポットの挙動を調査した。低酸素分圧下(Po_2<5kPa)でホットスポットを発生させた後、電圧を変化させると、ホットスポットの温度とサイズが周期的に増減を繰り返した。また、線材を流れる電流も振動することを見出した。振動電流の波形は正弦波であった。振幅は時間経過とともに指数関数的に減衰した。振動の周期と減衰の時定数は、印加電圧の増加、酸素分圧の低下、線材の断面積の増加、雰囲気ガスの熱伝導率の減少に伴い増加することが分かった。ホットスポット現象を利用した超低周波発振デバイスの実現の可能性が見出された。
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