研究概要 |
平成10年度は,本学既存の実験装置を用いて操縦性微係数の一部である斜航流体力係数の計測をおこない,その流体力学的特性について明らかにするとともに,無人高速電車用のPMM試験機の設計・開発を行い操縦性微係数の計測をおこなった. 1. 姿勢を系統的に変化させた斜航試験をおこない以下の知見を得るに至った.(1)斜航時に船体に働く流体力は,船体の航走姿勢によって大きく変化し,滑走艇の操縦性能を考える場合には航走姿勢の影響を考慮する必要がある.(2)船体に働く流体力は,ほぼ前進速度の二乗に比例する.(3)前進速度が高いときいは船体が浮上しトリム角が大きくなることで保針性は向上するが,その反面旋回しにくくなる.(4)斜航時には,横復原力が大きく変化し負の値となることもあり,旋回時に船体が大傾斜する可能性がある. 2. PMM試験機による操縦性微係数の計測結果から以下の知見を得るに至っている.(1)操縦性流体力に占める高次の流体力成分の割合は小さい.(2)左右揺れによる非定常流体力は準性的に扱うことができる.(3)操縦性微係数は運動振幅に依存しないが航走姿勢には強い依存性を持つ.一方,運動周期に対しては,依存性を持つ係数と持たない係数があることを確認した. 今後の研究の展開について 平成11年度 典型的な滑走型高速船のシリーズ模型を作成しその姿勢を系統的の変化させて操縦性微係数の計測をおこない,その特性について調査する. 平成12年度 平成11年度に引き続き,典型的な滑走型高速船のシリーズ模型を作成し,その姿勢を系統的に変化させて操縦性微係数をデータベースとして用いたシミュレーションプログラムの開発をおこなう.
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