研究概要 |
1. タバコモザイクウイルス(TMV-OM)感染タバコ葉(品種:Xanthi)の抽出液を30,000xgで30分間遠心した後、沈殿をタウロデオキシコール酸(TDC)で可溶化し、これを100,000xgで1時間遠心した上清(S100)から、TMV 183Kタンパク質のRNAポリメラーゼドメインに対する抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって、TMV RNAポリメラーゼ(ホロ酵素)を精製した。精製酵素のPAGE解析によって、本酵素のアポ酵素は126Kタンパク質と183Kタンパク質とのへテロダイマーであると推定された。さらに、本精製酵素は(+)TMV RNAあるいはその3'末端断片(249b)を鋳型とした場合にのみ特異的に鋳型全長に対応するRNAを合成した。 2. キュウリモザイクウイルス(CMV)と同属異種のラッカセイわい化ウイルス(PSV)との間でRNA1,2を相互に交換したリアソータントの感染性を解析した結果、PSV RNA1とCMV RNA2の組合わせの場合にのみ第1次感染細胞内での複製が認められたが、その後の移行は認められなかった。一方、CMVと同属異種のトマトアスパーミィウイルス(TAV)との間で、TAV RNA1,2とCMV RNA1あるいは2とを混合接種した結果、その子孫で、3′末端がTAVに置換された変異CMV RNA2や1aタンパク質に2ヶ所の変異を持つTAV RNA1が検出された。さらに、TAV 1aタンパク質とCMV 2aタンパク質は相互作用しないのに対し、TAV変異1aタンパク質はCMV 2aタンパク質と相互作用することが示された。 3. ムギ類萎縮ウイルス(SBWMV)の全長cDNAクローンを構築し、そのin vitroトランスクリプトが局部感染植物と全身感染植物に対し、ウイルス粒子と同様の感染性を示すことを確認した。
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