研究分担者 |
喜多 恵子 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70234226)
小川 順 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70281102)
片岡 道彦 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90252494)
長谷川 淳三 鐘淵化学工業株式会社, 高砂研究所, 基幹研究員
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研究概要 |
医薬等の様々な光学活性有用物質のキラルシントンとして利用価値が高い4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エチル(CHBE)の生産法として、微生物酵素を用いた4-クロロ-3-オキソ酪酸エチル(COBE)の不斉還元反応の検討を行った。COBEを(R)-および(S)-CHBEに立体特異的に還元する菌株としてそれぞれSporobolomyces salmonicolorおよびCandida magnoliaeを見出した。S.salmonicolorには、2種類のNADPH依存性COBE還元酵素(AR I,AR II)の存在が明らかとなった。AR Iは(R)-CHBE(>99%ee)を与え、アミノ酸配列の解析からアルドーケト還元酵素スーパーファミリーに属すること、AR IIは(S)-CHBE(>99%ee)を与え、ほ乳類3-β-ヒドロキシステロイド還元酵素/植物デヒドロフラボノール還元酵素スーパーファミリーに属することが判明した。AR IIのNADPH結合に関与すると考えられるG19-X-X-G22-X-X-A25モチーフのアミノ酸残基の置換を行うと、A25G変異酵素ではNADHも補酵素として利用できることが判明した。一方、C.magnoliae菌体中には5種類のNADPH依存性COBE還元酵素(S1,S2,S3,S4,R)が存在した。S1は、分子量32,000の同一サブユニットから成る2量体タンパク質であり、(S)-CHBE(>99%ee)を与えた。S3およびS4は、50%ee程度の(S)-CHBEを与え、短鎖アルコール脱水素酵素/還元酵素ファミリーに属する酵素と考えられた。また、Rは分子量33,000の単量体タンパク質であり、(R)-CHBE(>99%ee)を与えた。本酵素の基質特異性は、S.salmonicolorのAR Iと一致し、アミノ酸配列においても相同性を示した。
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