研究分担者 |
有薗 幸司 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (70128148)
中村 〓 帝京大学, 医学部, 助教授 (10101734)
若林 明子 東京都環境研究所, 部長
井口 泰泉 横浜市立大学, 大学院総合理学研究科, 教授 (90128588)
原 彰彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (40091483)
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研究概要 |
1. ウナギ肝器官培養系を用いて,ビテロゲニンmRNA微量検出系を確立した。 2. コイビテロゲニンの測定法として,モノクロナール及びポリクロナール抗体を作製し酵素免疫測定法・化学発光免疫測定法を確立した。一方,HPLC法によるビテロゲニン検出法を開発した。 3. 都市近郊河川のコイ及び養殖コイのビテロゲニン濃度の評価を行った。一部の地点では雄コイ血清中にmg/mlの濃度のビテロゲニンが検出された。組織学的観察結果から,生殖腺異常が見られる個体も出現した。 4. 海産魚マダイ,マコガレイ,ボラのビテロゲニンの免疫測定法を確立した。養殖マダイ及び都市近郊海域のマコガレイの個体中に同一生殖腺内に精巣細胞と卵巣細胞が混在する雌雄同体魚が確認された。一方,ボラでは生殖腺の異常及び血中ビテロゲニンの測定を行ったが,現在までのところ異常を示す個体は出現しなかった。 5. ノニルフェノールに加えてノニルフェノールモノエトキシレートとオクチルフェノールの分析法を確立した。コイの生殖異常が確認された多摩川河川水(下水処理場処理放流水)中の濃度の測定を行った。ノニルフェノール0.3μg/L,オクチルフェノール0.2μg/L,ノニルフェノールモノエトキシレート0.2μg/L,であった。これらの濃度はいずれも単独では淡水魚に内分泌撹乱作用を引き起こす濃度の30分の1程度と低かった。 6. 外因性estradiol-17β(E_2)がサクラマスの嗅覚応答に与える影響を,E_2暴露群(10nM,0.1nM)と腹腔内投与群(5μg/g体重)で調べた結果,暴露群では対象群との差異は認められなかったが,腹腔内投与群ではDHPに対する応答が減少する傾向が認められた。 7. 成熟したメダカにE_2を0.3,3μg/g/day2週間投与し,投与1週目より1週間の産卵量を調べた結果,極端に低下した。また血中E_2,テストステロン(T)の量は,雌雄ともにE_2が増加しTの減少認められた。また,雄の行動をビデオで撮影後定量化し繁殖行動に及ぼす影響を調べた結果,雄の繁殖行動は1/4以下に低下しており,E_2が産卵行動を抑制したことが明らかとなった。 8. メダカの繁殖への雌性ホルモン及びホルモン様物質の影響を調べたところ,E_2では3nmol/L,ノニルフェノールでは300nmol/Lで雌の産卵と卵の孵化に著しい影響が現れた。
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