研究課題/領域番号 |
10356007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 終五 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40111489)
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研究分担者 |
石崎 松一郎 東京水産大学, 助手 (40251681)
落合 芳博 茨城大学, 教育学部, 助教授 (50160891)
阿部 宏喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80086727)
本木 正雄 味の素(株), 食品研究所・原料素材基盤研究所, 所長(研究職)
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キーワード | 魚肉 / 加熱ゲル化 / ミオシン / シログチ / 動的粘弾性 / 示差走査熱測定 / 水産練り製品 / トロポミオシン |
研究概要 |
魚肉の加熱ゲル化には、筋肉タンパク質の主要成分であるミオシンが最も重要とされるが、魚種間の分子構造の相違は明らかにされていない。本研究は、グチ・ミオシンのゲル形成機能部位を分子レベルで特定し、水産練り製品の品質改良に利用することを目的とした。 シログチ普通筋よりミオシンおよびロッドを調製し動的粘弾性測定機を用いて温度分散分析を行った。その結果、ゲル形成の指標とされる貯蔵弾性率(G')は昇温に伴い増加する低温度域(30〜42℃)、G'が減少する中温度域(42〜48℃)、および再びG'が増加する高温度域(48〜55℃)の3段階のゲル形成過程を示した。一方、東シナ海以西のシログチ・ミオシンは東京湾産のものに比べ,50℃以降の加熱に伴うG'の値が相対的に低く,両者のゲル形成能が同一ではないことが認められた。さらに、ミオシン尾部領域ロッドのC末端側約66kDaのL-メロミオシン(LMM)を、既に構築されているシログチ普通筋LMM発現ベクターを用いて調製した。示差走査熱測定分析(DSC)の結果、シログチLMMではTm31.7℃の1つの大きな吸熱ピークが観察され、1段階の反応でunfoldingすることが示された。円二色性分析(CD)から、このunfoldingはαらせんの崩壊によるものであることが明らかとなった。動的粘弾性を測定した結果、シログチLMMでは38℃付近でG'が増加した。また、SDS-PAGEにより80℃に加熱したシログチLMMはジスルフィド結合により多量体を形成することが示されたが。次に、ビンナガ・トロポミオシン(TM)を単離しDSCに供試したところ、吸熱ピークは31および43℃にみられたが、再測定時には低温側のピークは消失した。一方、シログチTMでは44℃に単一の吸熱ピーク(126kcal/mol)を示し、再加熱してもほぼ同一のパターンが得られた。
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