研究概要 |
1. 研究目的 近年,消費者に対して年間を通じて安全かつ鮮度の高い青果物を安定供給することが益々重要になっている。本研究は,青果物の鮮度保持に必要な実用上の最適貯蔵条件を容易にかつ安価に作り出すことが可能な二元調湿換気式低温貯蔵庫(以下二元庫)の実用化研究を行おうとするものである。二元庫の合理的設計と効率的利用のための工学的基礎理論を確立することを目的に,青果物の基礎特性の測定から,準実用規模における青果物の貯蔵実験に至るまで総合的に研究を行い,二元庫の実用化の可能性について考究する。本年度は,改良型二元庫4室の設計製作ならびにその性能試験を行う。 2. 研究成果 1)低温貯蔵庫建屋,ラッパールーム,冷凍機利用のヒートポンプ,換気扇,および加湿器からなる改良型二元庫のシステム設計を行い,2.5坪型の二元庫4室を設計製作した。2)二元庫内における温湿度の動的特性を解析し,熱・水分収支式を基礎とする温湿度変化の予測モデルを構築した。このモデルによる計算値と実測値との最大誤差は1.5℃であった。従って,温湿度の初期値と冷凍機の性能等が既知であれば庫内の温湿度予測が十分に可能である。3)二元庫の性能試験を行った結果,庫内ラッパールーム内の温度変化は±0.3℃,湿度変化は±2.0%となり十分な性能が得られた。 3. 展望 今後は,実際に青果物の貯蔵実験を行い,貯蔵性の評価を行った上で二元庫の有用性について明らかにしていく予定である。
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