研究概要 |
1.研究目的 近年,消費者に年間を通じて安全かつ鮮度の高い青果物を安定供給することが強く望まれている.本研究は,青果物の鮮度保持と年間供給に必要な,実用上の最適貯蔵条件を容易かつ安価に作り出すことが可能な二元調湿換気式低温貯蔵庫(以下,二元庫)の実用化研究を行おうとするものである.二元庫の合理的設計と効率的利用のための工学基礎理論を構築することを目的に,青果物の基礎特性の測定から,準実用規模における青果物の殺菌処理適性と貯蔵条件に至るまでの総合的な研究を行い,二元庫の実用化の可能性について考究する.本年度は,ニガウリの低温貯蔵適性実験,サツマイモの温水加熱処理適性実験を行う. 2.研究成果 1)ニガウリは,35℃の温水に30分間浸漬した後,5℃,90〜95%RHの条件で貯蔵し,目減り,カビ,硬度および色彩を指標として判定すると,貯蔵寿命は普通庫の約2週間に対し,二元庫は約3週間であった。 2)サツマイモは(1)次亜塩素酸ナトリウム1%濃度水による洗浄(2)自然乾燥(3)30℃,95%RH,5日間のキュアリング(4)52℃,40分の条件で温加熱処理後,13℃±0.3℃,85〜90%RH,4分間換気/回・24hrの条件で発芽もカビ発生もなく5カ月間貯蔵できた。ただし,この時点で実験材料がなくなった結果である。 3)温水処理によってサツマイモのグルコースは対照区に比べて約2mg/gDM減少したが、シュークロース,フラクトースへの影響はほとんどなく,走査型電子顕微鏡による観測でも,澱粉粒子形状への影響はみられなかった。
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