研究概要 |
1.研究目的 近年,消費者に年間を通じて安全かつ鮮度の高い青果物を安定供給することが強く望まれている。本研究は,青果物の鮮度保持期間を従来より延長することが可能な二元調湿換気式低温貯蔵庫(以下,二元庫)の実用化研究を行おうとするものである。二元庫の合理的設計と効率的利用のための工学基礎理論を構築することを目的に,青果物の基礎特性の測定から,準実用規模における青果物の貯蔵条件に至るまでの総合的な研究を行い,二元庫の実用化の可能性について考究する。本年度は,青汁原料のケールの低温貯蔵適性実験,サツマイモの温水加熱処理および低温貯蔵適性実験,熱帯産果実の乾燥・貯蔵実験,二元庫クーラのニューラルネットワーク制御数理モデルの構築を行う。 2.研究成果 1)ケールの商品寿命は,所定の黄変度合いと目減りを基準にすると,25℃での2日間,1℃の普通低温貯蔵庫での38日間に対し,1℃,95%RHの二元庫では48日間であった。2)サツマイモは50℃,30分の条件での温水加熱処理の有無に拘らず,14℃±0.3℃,85〜90%RH,4分間換気/回・24hrの条件で,発芽もカビ発生もなく1次的には8ヶ月間,2次的には12ヶ月間貯蔵できた。3)マンゴ,バナナ,ネッリは減率乾燥速度式に従って乾燥し,果実表面積の減少過程の画像解析から乾燥速度定数の推算が可能になった。4)ハイブリッド・クーラ出口における準定常および非定常状態の温度と絶対温度は,階層型ニューラルネットワークを用いて,高精度に予測できた。
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