研究課題/領域番号 |
10356011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
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研究分担者 |
伏谷 伸宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012010)
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
唐木 英明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60011912)
石田 行知 三菱化学生命科学研究所, 主任研究員
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
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キーワード | 海洋生物 / 生理活性物質 / 毒素 / カルシウムチャネル |
研究概要 |
本研究は、海洋生物由来の新規天然生理活性物質を探索し、その生理・薬理活性を調べ、これによって新たな医薬、農薬、研究試薬創出のための資源ライブラリーを構築することを目的としている。本年度は海綿由来の、イソプレン化合物stelletamide(ST)ファミリーとペトロシノールを取り上げ、その生物作用機序を解明した。 ST-Aは、海綿Stelletta sp.由来の生理活性物質である。1997年、カルモジュリン(CaM)阻害作用を持つことが見い出され、また複数の誘導体の化学構造が決定された。本研究では、STファミリーのCaM阻害作用における構造活性相関について検討し、1)CaM阻害作用の発現にとって最も重要な官能基条件はイソプレノイド鎖-アルカロイド部位の立体配置である、2)アルカロイド部位の正電荷の増大は活性化段階に対する阻害作用を増強する、3)短いイソプレノイド鎖は「結合段階」に対する阻害作用を増強する。さらに、STファミリーのL型Ca^<2+>チャネルに対する抑制作用についても明らかにすることが出来た。STファミリーは海綿由来のイソプレノイド化合物であるが、本研究を契機に、内因性の生理機能制御という観点からイソプレノイドの生物学が始まることが期待される。 Petrosynolは、八丈島近海に生息する海綿の一種Petrosia spp.より単離精製された、ポリアセチレン鎖を骨格とする新規化合物である。Petrosynolは細胞毒性を示すが、その生理活性作用の詳細は不明である。本研究により、petrosynolが各種の平滑筋に対して収縮抑制作用を持ち、その抑制は主に電位依存性L型Ca^<2+>チャネルの抑制によることが明らかとなった。この抑制作用はすべての膜電位において観察され、steady-state inactivationを促進させることが示された。
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