研究課題/領域番号 |
10357003
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
竹田 美文 国立感染症研究所, 所長 (30029772)
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研究分担者 |
牧野 壮一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (30181621)
濱端 崇 国立国際医療センター研究所, 感染・熱帯病研究部, 室長 (40311427)
山崎 伸二 国立国際医療センター研究所, 適正技術開発・移転研究部, 室長 (70221653)
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キーワード | Stx2 / 無毒変異株 / 豚浮腫病 / VT2vp1 / 感染防御能 / ベロ毒素 / 腸管出血性大腸菌 / ワクチン株 |
研究概要 |
Stx2単独産生EHEC O157:H7V20株からStx2遺伝子をクローニングし、Stx2AサブユニットのRNA N-グリコシダーゼの活性中心である167番目のGluをGlnに、170番目のArgをLeuに置換した変異Stx2遺伝子を作製した.suicide vect or pJP5603に組み入れ、さらに元株V20に導入して相同組換えを行い、無毒化Stx2ワクチン候補株を構築した。このワクチン候補株のVero細胞毒性が完全に陰性であることを確認した。この株及び同様の手法で先に構築してあった無毒化Stx1ワクチン候補O26:H11株の安全性・有効性の検定を、幼若ウサギの系を用い試みた。しかし有意差を取るに十分な個体数の確保が困難であったため、現在低栄養マウスの感染系を用いて条件を検討中である。 一方の原因となるベロ毒素(VT2eまたはVT2vp1)産生性大腸菌(VTEC)について、抗原性は保有するが毒素活性の喪失した変異毒素を産生する変異株を作出し、その防御能について検討した。すなわち、VT2vp1のAサブユニットN末端から167番目のグルタミン酸(E167)と170番目のアルギニン(R170)を、それぞれグルタミン(Q167)とロイシン(L170)に置換したVT2vp1変異毒素を産生するような遺伝子を作出した。この遺伝子と野生型の毒素遺伝子を相同組換えにより置き換え、変異株を作出した。この変異株は野生型の毒素と同様の抗原性は保持していたが、ベロ細胞を用いた試験により毒素活性が喪失していた。また、この変異株の豚への毒力を野生株を対照にして調べた結果、病原性は喪失していた。この変異株をワクチン候補株として、感染防御能を調べたところ、変異株を投与した豚群(n=20)は浮腫病由来の野生株の投与に対して浮腫病の発症はみられなかったが、ワクチン株を投与しなかった豚群(n=20)では、12頭が浮腫病を発症し、死亡した。また、変異株投与豚において、血中IgG価および糞便中IgA価の上昇も確認された。
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