研究課題/領域番号 |
10357004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊岡 照彦 東京大学, 保健管理センター, 教授 (00146151)
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研究分担者 |
申 偉秀 東京大学, 保健管理センター, 助手 (10211971)
鈴木 順一 東京大学, 保健管理センター, 講師 (50260485)
上原 誉志夫 東京大学, 保健管理センター, 助教授 (40184965)
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キーワード | 心筋症 / 遺伝子 / ミトコンドリア / Dループ |
研究概要 |
特発性心筋症の原因遺伝子の中で肥大型心筋症の約50-70%はサルコメアを構成するミオシンなどの遺伝子変異に起因するが、他方の拡張型心筋症の原因遺伝子については不明な部分が多い。最近、細胞内のアクチンとジストロフィンを介して細胞外マトリクスのラミニン-α2と結合して細胞膜を安定化する細胞内外結合蛋白の遺伝子の変異とミトコンドリア遺伝子の異常によって発症する事が報告されてきた。当研究室では脳筋症の患者が心症状を呈する事に注目して、遺伝子解析を進めた。脳筋症はA3243G変異によるMELAS、T8993G変異によるNARP、A3260G変異によるMMC、A8344G変異によるMELASが比較的頻回に認められるため、これらの変異をPCR-RFLPで検索した。その結果、中年以降に発症した糖尿病と感音性難聴を有する女性2名をMELASと診断した。この中の一例は末梢血の白血球由来のDNAでは感度が低く、心筋生検標本で初めて確定診断が可能であった。次に従来報告されていない部位の変異でも心筋症が起こる可能性を探る為に、ミトコンドリア由来の22種のtRNAを検索した。その結果、12SrRNAの中のG1598A、tRNA-Hisの中のG12192A、tRNA-Thrの中のG15927Aに変異を認めた。これはいずれも正常配列と混在しないホモプラスミーであった。こうした症例の中で、兄弟で拡張型心筋症を呈した家系についてG15927A変異を示し、心筋症との関連が示唆されたため、対象患者を広げて検討したところ、HCMで83例中1例、DCM41例中3例に同じ変異を認めた。驚くべき事に、一見無縁な患者を民族分類などに用いるD-loop部分をdirect sequnceで配列決定した結果、上記4例が全員共通した構造を示し、先祖が共通している可能性が示された。
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