研究課題/領域番号 |
10357005
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
松本 陽 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 参事研究員 (90173921)
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研究分担者 |
神山 邦子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (80301795)
田沼 直之 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (00281676)
松原 四郎 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員 (00143884)
池 映欣 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経病理研究部門, 研究員
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キーワード | 免疫性神経疾患 / T細胞レセプター / CDR3領域スペクトラタイピング / DNAワクチン |
研究概要 |
本研究では種々の自己免疫疾患に罹患した個体に特有の疾患関連T細胞レセプターを最も鋭敏な遺伝子解析法であるCDR3領域スペクトラタイピングによって明らかにし、これを蛋白発現ベクターに組み込み、DNAワクチンとして投与する。DNAワクチンから産生されるT細胞レセプター蛋白に対する抗体や抑制性T細胞を誘導することによって、抗原免疫によって活性化される自己免疫病惹起性T細胞の機能を抑制することが可能となる。これら一連の手順により、より強力、かつ迅速的な自己免疫病の個別的予防・治療法を確立して、ヒト免疫性神経・筋疾患の遺伝子治療を行うことを目指している。 自己免疫性脳脊髄炎においては、1)中枢神経系に浸潤したT細胞においてVβ8.2の持続的なクローン増殖が認められる、2)このような変化は炎症局所だけでなく末血でも認められ、末血を用いた病態診断が可能である、3)抗体治療により、Vβ8.2陽性T細胞を消去すると脳炎惹起抗原分子のマイナーエピトープに反応するVβ10陽性T細胞が活性化してEAEが継続し、十分な治療効果を得るには両者の複合治療が必要である、4)神経炎、心筋炎、心移植など、疾患は異なっても同一近交系動物では活性化されるT細胞レセプターの種類は比較的限られている、等が明らかとなった。 自己免疫性心筋炎においてはCDR3領域スペクトラタイピングによりこれまで不明であった疾患関連T細胞レセプターを同定し、これに対応するDNAワクチンを投与することによって心筋炎の発症を抑制することに成功した。遺伝子治療に関しては、DNAワクチンの構造そのものを遺伝子組み換え技術を用いて改良し、より効果の高いワクチンを創製することが重要である。また、ワクチンのより有効な投与法(投与ルート、投与回数、投与量など)を確立する必要がある。最終目標は遺伝子治療によるヒト免疫性神経疾患の治療、再発防止療法を開発することにある。
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