研究課題/領域番号 |
10357006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 彰 九州大学, 医学部, 教授 (30038814)
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研究分担者 |
江頭 健輔 九州大学, 医学部, 講師 (60260379)
上野 光 九州大学, 医学部, 講師 (50260378)
下川 宏明 九州大学, 医学部, 助教授 (00235681)
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
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キーワード | 動脈硬化 / サイトカイン / 冠攣縮 / Rho-kinase / 動脈硬化の退縮 |
研究概要 |
1. 代表的炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)をブタ冠動脈外膜側より慢性投与すると、同部に内膜肥厚・血管リモデリング(血管断面積の減少)を伴う冠動脈硬化病変が惹起され、また冠攣縮性反応も生じることを明らかにした。 2. 上記の炎症性冠動脈病変では、低分子量G蛋白Rhoおよびその標的蛋白であるRho-kinaseの発現が増加していた。RhoおよびRho-kinaseは血管平滑筋の収縮に関与するだけではなく、炎症細胞の接着・浸潤や他の遺伝子の発現にも関与している可能性が最近の研究で指摘されている。したがって、Rho・Rho-kinaseの発現の増加が血管平滑筋の過収縮だけではなく、動脈硬化病変の形成・維持にも重要な関与をしていると考えた。 3. 我々は、我が国で開発された蛋白リン酸化酵素阻害薬であるfasudilが生体内で代謝されて生じるhydroxyfasudil(HF)が選択的Rho-kinase阻害作用を有することを見い出した。実際にHFの前投与は、IL-1β投与部位において生じるセロトニン誘発性冠攣縮を用量依存性に抑制した。 4. 選択的Rho-kinase阻害薬であるHFの長期投与が冠動脈硬化病変の退縮を惹起するか否か、検討した。IL-1β投与2週間後、冠動脈造影にて動脈硬化病変の出現を確認した後、動物(ブタ)を無作為に2群に分け、一群にはHFを慢性投与し、他の一群は対照群とした。8週間後、HFの投与を中止しさらに1週間の休薬期間後に冠動脈造影および組織学的検討を行ったところ、HF群では冠動脈硬化病変の著明な退縮を認めた。
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