研究課題/領域番号 |
10357010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
山本 孝史 農林水産省家畜衛生試験場, 細菌寄生虫病研究部, 部長
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (40314215)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
西河 芳樹 ノバルティスファーマ社, 取締役研究開発本部長
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キーワード | 人工肝臓 / 体外異種肝灌流 / ヒヒ / DAF / レトロウィルス / IgY / ブタ |
研究概要 |
1)異種臓器に対する宿主側の液性免疫による障害を回避するために、補体のClassical PathwayのみならずAlternative Pathwayも抑制できるブロッキング抗体として、マンノース残基を酸化した抗異種抗原(抗αGal)鶏卵抗体(酸化IgY)を作製した。ラット異種血肝灌流において酸化IgYによる血管内皮細胞異種抗原に対するブロッキング効果を検討したが、補体の活性化による臓器障害を抑制できなかった。 2)ラット異種肝灌流において可溶化ヒト補体抑制蛋白(soluble Complement Receptor Type I:sCR-I)を用いて補体を抑制し、その効果を検討した。肝逸脱酵素や組織所見から、肝臓の障害がsCR-Iを用いた群では同種灌流と同じレベルまで著明に軽減されていることがわかった。灌流肝臓の内皮への障害を検討するためにラットの炎症性サイトカインや接着因子の発現を見たところ、同種灌流群とsCR-Iを使用した群で有意差が無く、sCR-Iを使用しなかった異種灌流では内皮細胞の強い障害による壊死を反映してむしろ発現が低下していた。 3)外科的に肝不全を導入した犬を用いて、ブタ肝臓を用いた全肝体外灌流型人工肝臓の延命効果を検討した。人工肝臓を使用しなかったコントロール群では肝不全導入後約15時間で死亡したのに対し、人工肝臓を使用した場合約26時間まで生存し、明らかな延命効果を認めた。なお、人工肝臓の回路内にプロスタグランジンE_1を持続投与しなかった場合には、灌流時間が短縮し延命効果も低下した。 4)補体抑制因子(DAF)遺伝子導入ブタを用いた全肝体外灌流型人工肝臓からヒヒへの疾患移入、特にブタ内因性レトロウィルス(PERV)感染について検討した。交差灌流前、灌流中、および灌流後1年に渡っていくつかのタイムポイントで経時的にヒヒ血液のゲノムDNAをとり、そこに含まれるPERV配列(プロウィルス)を定量的PCRによって判定した。灌流中および24時間後のみ陽性であり、以後は検出感度以下となった。
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