研究課題
基盤研究(A)
健常皮膚を介して伝送される電力によって駆動される体内完全埋込型の定常流式および拍動流式の電気駆動式人工心臓を対象として生体適合化に間する基礎研究を行った。1.血液破壊の軽減:遠心ポンプのインペラとケーシングの半径方向隙間ならびに軸方向隙間を独立に変化させたモデルを作成し、さらに、駆動方法をダイレクトドライブ方式とすることの影響を、溶血試験、流れの可視化、数値計算を施行し血液破壊の軽減のための定量的指針を提唱した。2.血液の凝固に伴う血栓形成の防止:数値解析に用いた条件と同様の駆動条件で犬を用いた体外循環を行ったところ、同一部位に血小板の粘着が見られ、数値解析とin vivoの結果の一致を見た。また、遠心ポンプのインペラを従来のオープンタイプからセミオープンタイプに変更することで、インペラ周囲の血液潅流を増加させることができ、抗血栓性の向上を図った。新しく開発した血液接触面のヘパリン化法により、生体適合化が一段と向上した。3.体内空間や生体組織に対する血液ポンプの解剖学的適合性の実現のための方法論の創出:画像解析を基に人工心臓をデザインし、それを慢性動物実験に応用した結果優れた体内への装着性が明らかとなった。電気油圧式全人工心臓ばかりではなく、拍動流式の補助心臓、定常流人工心臓などに関しても、体内空間への適合化に関して検討した。4.体内での熱発生の影響と許容限界の明確化:計算によるシミュレーションの実施とともに、熱源としての電気油圧式人工心臓を埋め込んだ慢性動物実験で熱源周囲温度を連続測定するとともに肺に及ぼす病理組織学的影響の検討を行った。熱源に対する生体の適応が病理学的に観察された。5.経皮的電気エネルギー伝送に伴う電磁波による生体への影響と許容限界の明確化:郵政省の電磁は防護指針との比較を行い、生体への電磁波の影響が特に見られないことが分かった。また、ファントムを用いることで、人工心臓からの電磁波の発生とその影響について検討した。経皮的電力伝送慢性動物実験を4ケ月間にわたって行い、生体への電磁波の影響が特に見られないことが分かった。
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