研究課題/領域番号 |
10357013
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
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研究分担者 |
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 部長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
中村 真人 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90301803)
本間 章彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20287428)
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キーワード | 埋込み型人工心臓 / 全置換型人工心臓 / エレクトロハイドローリック方式 / 血液ポンプ / 駆出性能 / 制御アルゴリズム / 解剖学的適合性 / アクチュエータ |
研究概要 |
本研究の目的は、長期〜永久使用を目的とした電気油圧駆動方式完全体内埋込み型人工心臓システムを開発することである。本システムは、平成7年度から3年間の科学研究補助金による基礎研究開発で実用化を目指し得る段階に到達したが、本研究では臨床応用に向けた統合的システムとしての開発・改良を段階的に進めることにより、臨床治験を行い得るレベルにまで本システムを発展させることを目標とする。昨年度は三次試作モデルの設計・製作・評価を行ったが、本年度はさらに四次試作の設計・製作・評価を進め以下のような成果を得た。まず、(1)構造の見直しと徹底したデッドスペースの排除によって、アクチュエータの大幅な小型化を達成した。また、血液ポンプのサイズもさらに小型化し、解剖学的適合性を一層向上させた。モック回路で基本的性能について評価したところ、13L/min以上の最大拍出量と14%以上の最大効率が得られ、十分な性能を維持しつつ大幅な小型化を達成し得た。(2)三次試作で用いた径4.5mmの心房間シャントでは気管支動脈還流血の多い例ではときに10mmHg近い左右心房圧差となったため、四次試作では径5.0mmとし、シャント孔付きの人工心房中隔を新たに設計・製作した。(3)経皮エネルギ伝送システムおよび体内バッテリについてin vivo評価仕様のものを製作した。前者は二次コイルをシリコン内封入ベロア被覆することにより、また後者はチタン制小型軽量容器を製作してパッケージングを行った。以上の改良・性能向上を行った四次試作を用いた動物実験評価では、極めて大きな進展が得られた。まず、(4)駆動ユニットの埋込み慢性実験で86日間にわたる生存を得、長期生存記録を10日間から大幅に更新した。これは現在開発が行われているシステムでは、米国のペンシルバニア大学およびアビオメド社に次ぐ世界第3番目の長期記録である。実験期間中動物の血液循環を良好に維持され、また新規の心房間シャントによっても0-5mmHgの心房圧で良好な左右差代償効果を得た。さらに、(5)経皮エネルギ伝送システムの動物実験評価でも4ヶ月間におよぶ連続経皮伝送に成功し(世界最長)、その信頼性を証明した。次年度は、このような成果に基づいて実用化を目指してさらなる改良を進め・動物実験成績においても生存期間の更新と安定性の向上を図る予定である。
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