研究分担者 |
菅井 基行 広島大学, 歯学部, 教授 (10201568)
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
我孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
山崎 和久 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (00182478)
高柴 正悟 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50226768)
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研究概要 |
歯周病に関連する遺伝子を,感染防御,宿主防御,代謝,組織再生という視点から多角的に検討した. 感染細菌に関しては,Porphyromonas gingivalis由来のヘマグルチニンの遺伝子配列から機能ドメインを解明した.P.gingivalisヘマグルチニンの結合ドメインにはPVQNLTという特異的な配列があり,インフルエンザウィルスのそれと高い相同性を有していた.また,Actinobacillus actinomycetemcomitansから新規のcytolethal distending toxin遺伝子(Aa cdt)をクローニングに成功した.Aa cdtは3つのクラスターから構成され,それぞれCDT A,B,Cをコードしていた.E.coliを用いた欠失実験から毒素活性にはCDT A,B,Cの全てが必要であることを明らかにした.一方,宿主防御に関しては,歯周炎患者血清中に存在する自己抗体産生に関連する遺伝子をT細胞受容体(TCR)とヒト白血球型抗原(HLA)から解析した.TCRについては,リコンビナントhsp60およびP.gingivalisのGroELによって末梢血T細胞を刺激した後,TCRβ鎖のCDR3領域を解析し,増殖したT細胞のクローンと歯周組織に集積しているT細胞が同一のCDR3アミノ酸配列を有することを明らかにした.HLAについては,歯肉あるいは歯周靭帯由来の線維芽細胞に対する自己抗体を持つ患者はparvovirus B19に対しても高い抗体価を示し,これらの患者のHLA class II genotypeは,DQA1^*0101,DQA1^*0501,DQB1^*0503の発現頻度が健常者よりも高いことを明らかにした.また,欧米で報告のあるIL-1のgenotypeと成人性歯周炎との関連については,調べた限りにおいては,日本人ではIL-1のgenotypeと成人性歯周炎との間に相関はなかった. 歯周炎を伴うことが多い低フホスファターゼ症について,2名の発端者およびその家族から臓器非特異的アルカリホスファターゼ遺伝子に新たな点突然変異を見出した. 組織再生に関わる未知の遺伝子の検出は,創傷治癒過程の歯周組織と健康歯周組織から得た遺伝子をサブトラクション法で行った.その結果,治癒過程で発現が増加する未知の16個のcDNAと発現が減少する未知の9個のcDNAを分離することに成功した.
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