研究課題/領域番号 |
10357021
|
研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
小澤 俊彦 放射線医学総合研究所, 研究員 (40160858)
|
研究分担者 |
嶋本 典夫 武田薬品, 創薬研究本部, 主席部員
長野 哲雄 東京大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20111552)
内海 英雄 九州大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20101694)
竹下 啓蔵 放射線医学総合研究所, 第1研究グループ, 研究員 (70175438)
増水 章季 日本電子, 分析機器技術本部, 主任
|
キーワード | L-バンドESR / X-バンドESR / 活性酸素 / フリーラジカル / 酸化的ストレス / マウス / ニトロキシルラジカル / 重粒子線 |
研究概要 |
生体が種々の酸化的ストレスを受けると一義的に活性酸素・フリーラジカルが生成され、これらが生体成分と反応し、種々の障害を与えると考えられている。従って、酸化的ストレスを評価するには活性酸素・フリーラジカルを測定することが重要である。従来は酸化的ストレスにより生成される活性酸素・フリーラジカルの評価は主にin vitroの測定法で行われていた。しかし、生体を動的にとらえる場合には、これらを無侵襲で評価することが極めて重要になる。本研究では活性酸素・フリーラジカルの挙動を無侵襲で測定可能なL-バンドESRを用いて酸化的ストレスを評価する方法を開発することを目指すものである。 平成12年度は共同研究者と頻繁に連絡を取り合いながら研究を推進し、以下の成果を得た。 これまで、スピンプローブの生体内における消失(スピンクリアランス)をL-バンドESRで測定する方法がX線による酸化的ストレスの無侵襲評価法として有効であることを明らかにした。昨年度はX線とは線質の異なる重粒子線を酸化的ストレスとして用い、7.5Gy照射4日目に肝の障害指標並びに脂質酸化指標(TBARS)が増加し、それに先だって照射1-2時間後の上腹部におけるスピンクリアランスが増加したことを示した。 そこで本年度はスピンクリアランス増加の意味を明らかにするために、スピンクリアランスとTBARSの照射線量依存性と重粒子線照射後スピンクリアランス測定前に投与した活性酸素・フリーラジカル消去剤のスピンクリアランス増加に及ぼす影響を調べた。照射線量を0Gy,15Gyと変えたところスピンクリアランス、TBARS共に線量依存的に増加した。7.5Gyの重粒子線によるスピンクリアランスの増加はヒドロキシルラジカル(・OH)の消去剤であるジメチルスルフォキシドの腹腔内投与で抑制されたが、ペルオキシルラジカルの消去剤であるTroloxは効果がなかった。これらのことから、重粒子線によるスピンクリアランスの増加と・OH生成との関係が示唆され、L-バンドESRを用いる本法が活性酸素の無侵襲モニター法として有用であると考えられた。
|