研究課題/領域番号 |
10357022
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊賀 立二 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60012663)
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研究分担者 |
折井 孝男 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50231246)
佐藤 均 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40187224)
澤田 康文 九州大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80114502)
中野 重行 大分医科大学, 医学部, 教授 (10033341)
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40218699)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 薬物相互作用 / 副作用回避 / 処方設計支援システム / 医薬品情報 / 臨床試験 / 薬理遺伝学 |
研究概要 |
1.薬物相互作用のメカニズム解明:最近注目されている小腸における薬物相互作用のメカニズムを解明するため、グレープフルーツジュース(GFJ)と薬物の相互作用について実験を行った。ヒト小腸由来細胞であるCaco-2を用い、GFJ中のジヒドロキシベルガモチンがP-糖蛋白質(薬物排出ポンプ)の作用を阻害することを発見した。このメカニズムによって、GFJが小腸において薬物代謝酵素の阻害とともに薬物吸収を亢進させ血中濃度を上昇させる可能性が示された。 2.非臨床試験による薬物間相互作用の定量的予測法の確立とヒトにおける相互作用に関する臨床試験を行うための用量設定:1.の実験結果を含め、予測のためのモデル解析を行った。モデル薬物として降圧剤(Ca拮抗薬)であるフェロジピンおよび免疫抑制剤であるシクロスポリンを用いた。実験動物としてラットを用い、in vivoとin vitro実験に基づいてクリアランス理論から相互作用の肝臓、小腸における寄与を定量的に解析した。また、各種阻害剤の肝臓内、小腸上皮細胞内動態を検討することによって肝臓内、小腸内薬物濃度を推定することができ、血液中濃度の増加率が予測可能となった。さらに、ヒトにおける薬物動態に関する情報を組み込むことにより、ヒトにおける阻害剤存在時の血液中濃度増加率を推定することに成功した。 3.薬物代謝酵素についての遺伝多型の検索:CYP2C19に関しては、extensive metabolizer(EM)に分類されるwt/m1とwt/m2は、クリアランス値がwt/wt(野生型)とpoor metabolizer(PM)の中間の値をとることが示され、m1、m2をヘテロ型で有することでも代謝活性が低下することが示された。胃潰瘍患者におけるオメプラゾールの効果を検討した結果、添付文書に記載されている常用量では内視鏡観察による改善率はPM(83%)がEM(32%)より著しく、治癒に至る期間もPMが有意に短期間であった。 4.既に市販されている医薬品における薬物相互作用を回避するための用量調節法や代替薬の選択に関する情報構築:薬物相互作用に関する臨床報告を遡及的に検索し、血液中濃度変化から相互作用回避のための用量設定法を確立し、さらに代替薬となる薬物をリストアップした。 5.薬物相互作用回避法に関する薬品情報検索システムソフトの構築:4.で得られた情報をデータベース化し、迅速に検索・解析可能とした。これを発展させ、既存のコンピュータを用いて臨床で活用可能なソフトを開発した。 6.薬物相互作用に関する薬品情報を病院内で提供するための処方オーダリングシステムの構築と評価:5のソフトを病院内の処方オーダリングシステムへ組み込むとともに、処方チェック・鑑査システムを構築した。
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