研究分担者 |
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
山野 勝次 (財)文化財虫害研究所, 常務理事(農学博士)
木川 りか 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40261119)
青木 睦 国文学研究資料館, 史料館, 助手 (00260000)
石崎 武士 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 室長 (80212877)
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研究概要 |
臭化メチルの2005年全廃を控え,欧米ではIPM(Integrated Pest Management,総合的害虫管理)を中心とする害虫予防策への移行がはかられているが,気候の異なるアジア地域では欧米の方法をそのまま適用できないのも事実である。本研究では日本独自のIPMを構築することを目的とし,研究を進めてきた。昨年度までは,主に実験室内における検討,および討論が中心であったが,本年度は,日本国内でそれぞれ博物館等のIPMの立案・実行に携わる研究者,学芸員および臭化メチルの代替法の研究者,修復技術者等を交えて現場における活動を開始した。具体的には,(1)史料館書庫における低毒性薬剤(ピレスロイド)による害虫の駆除,およびその効果確認のためのモニタリング,(2)民間所蔵資料収蔵庫における脱酸素剤,二酸化炭素による殺虫処理,(3)民具の二酸化炭素による殺虫処理,などのプロジェクトにおいて実験を行った。これらのプロジェクトを通じて,臭化メチルによるガス燻蒸以外の方法の使い方をより具体的に検討する場を得た。今後,用途ごとに方法を分けて,臭化メチルによるガス燻蒸以外の方法を普及するためにさらなる検討を行う予定である。さらに,IPMを普及させることと関連したプロジェクトとして,学芸員が害虫を同定し,的確に対処するための助けとなる文化財害虫事典を製作してきたが,本年度,防除法などの資料編を拡充した形で全編が完成し,現在印刷中である。
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