計算幾何工学:ロバスト化機能をもった幾何計算ソフトウェアの統合研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10358005
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 杉原 厚吉 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (40144117)
• 研究分担者: 大沢 晃 中部大学, 工学部, 教授 (40247614) ; 乾 正知 茨城大学, 工学部, 助教授 (90203215) ; 浅野 哲夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90113133) ; 比留川 博久 独立法人・産業技術総合研究所, 主任研究官 ; 東 正毅 豊田工業大学, 工学部, 教授 (70189752)
• キーワード: 位相的アプローチ / 臓器モデル / ボクセル法 / スプリング・ダンパモデル / スペースモデル / 代数的アプローチ / デジタルハーフトーニング / シュリング多項式

研究概要

前年度に引き続き、本研究組織に属する各研究分担者が独自に開発し、実装してきているロバスト幾何計算技術を統一的視点から調査し、各手法の長所・短所を比較検討するとともに、それぞれの長所を生かした工学的応用手法を開拓してきた。
本年度の主な成果は次のとおりである。ボクセルデータ構造を利用したロバスト幾何計算に関しては、濃淡画像を2値化するために、ディスクレパンシィ最小化基準に基づいた新しい手法を開発し、その性能と安定性を実際の画像を用いて確認することができ(浅野哲夫)、機械形状を設計する際の許容寸法誤差による形状全体の変形を解析する手法を開発・実装し(乾正知)、可変形臓器のモデリング手法を開発してそれを手術シミュレーションに応用するための諸課題を解決した(木村文彦)、位相構造を利用したロバスト幾何計算に関しては、スペースモデリングの考え方を3次元グラフィックスに応用し、局所可視グラフの高速算法とそれを利用した経路探索の手法を確立し(大沢晃)、シェルの三角形分割で得られる2次元単体複体の構造のシェリング多項式からシェル化に関する性質を整理することができた(今井浩)、代数構造を利用したロバスト幾何計算に関しては、物体が接触しながら動く際の反力計算をスプリング・ダンパモデルを介して行う方法を開発し(比留川博久)、3次元メッシュデータの形式で表された曲面を、4階差分商を用いて平滑化する方法を開発し(東正毅)、さらに、図形のミンコフスキー演算の逆演算が常に値をもつように代数系を拡大して得られる「超図形」の体系を整理し、加工機械の性能の表現などにこの超図形が利用できることを示した(杉原厚吉)。

研究成果

• [文献書誌] D.-S. Kim, D. Kim, K. Sugihara: "Voronoi diagram of a circle set from Voronoi diagram of a point set, I, Topology"Computer Aided Geometric Design. 18. 541-562 (2001)
• [文献書誌] T. Asano, N. Katoh, T. Tokuyama: "A unified scheme for detecting fundamental curves in binary edge images"Computational Geometry: Theory and Applications. 18. 73-93 (2001)
• [文献書誌] T. Asano, N. Katoh, K. Kawashima: "A new approximation algorithm for the capacitated vehicle routing problem on a tree"Journal of Combinatorial Optimization. 5. 213-231 (2001)
• [文献書誌] 東正毅, 千賀宏樹, 中野寿, 穂坂衛: "位相,幾何拘束によるパラメトリック設計"精密工学会誌. 67巻,2号. 229-234 (2001)
• [文献書誌] 乾正知, 高野誠人: "部分的な再描画によるNC加工プロセスの高速なアニメーション"情報処理学会論文誌. 42巻,3号. 478-485 (2001)
• [文献書誌] 大沢晃, 芦川宏: "可視空間追跡法による高速3D表示:三次元スペースモデルの研究"情報処理学会論文誌. 42巻,5号. 1134-1141 (2001)
• [文献書誌] 杉原厚吉: "トポロジー"朝倉書店,東京,2001.. 210+viii (2001)