研究課題/領域番号 |
10358015
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
海老塚 豊 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90107384)
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研究分担者 |
嶋田 寿男 日本ロシュ研究所, 主席研究員
藤井 勲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (70181302)
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キーワード | トリテルペン合成酵素 / オキシドスクワレン / サポニン / 生合成遺伝子 / 放線菌 / エンジイン / 抗生物質 / 耐性 |
研究概要 |
(1) トリテルペンサポニン大量生産系の開発 カンゾウ、オタネニンジンをはじめトリテルペン生産植物からmRNAを抽出、逆転写しcDNAプールを調製した。これを鋳型に、既知のオキシドスクワレン閉環酵素の保存領域からデザインしたプライマーでPCRを行い、コアに相当する断片を増幅した。それぞれのコア配列情報を利用しRACE-PCRによりそれぞれの全長cDNAを取得した。これら全長cDNAを酵母発現用プラスミドに組み込み、ラノステロール合成酵素欠損株の酵母を形質転換し酵素機能の同定を行った。形質転換酵母の細胞を有機溶媒で抽出し生産化合物をLC-MSで分析し、必要な場合はNMRでも構造解析し生産化合物を同定した。その結果、トリテルペン合成酵素cDNAとして、β-アミリン合成酵素をオタネニンジン、カンゾウ、エンドウ、シラカンバから、α-アミリン合成酵素をエンドウから、またルペオール合成酵素をオリーブ、タンポポ、シロイヌナズナから取得し、これらのうち代表的なクローンおよびアンチセンスDNAを植物形質転換用プラスミドに組み込んだ。 (2) 新規エンジイン型抗腫瘍抗生物質生産系の開発 ダイネミシンA生産菌である希少放線菌Micromonospora chersinaのゲノムDNAコスミドライブラリーを構築し、既知ポリケタイド合成酵素(PKS)遺伝子をプローブとしてスクリーニングした結果、放線菌の芳香族化合物生合成遺伝子に特徴的な縮合酵素、鎖長決定因子などのPKSを構成するORFを中心に約60kbの領域をクローニングすることができた。また、ライブラリークローンを保持した大腸菌についてダイネミシンA耐性スクリーニングを行い、得られた耐性クローンを解析したところ、その耐性遺伝子領域が先にクローニングしたPKS遺伝子を含む生合成遺伝子60kbの直ぐ下流に存在していることを確認することができた。自己耐性遺伝子と生合成遺伝子が極近傍に存在することから、今回クローニングした領域がダイネミシンAの生合成遺伝子クラスターあると考え、現在、その塩基配列の決定、コードされるORFの同定を進めている。
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