研究課題/領域番号 |
10358018
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 純一 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60142113)
|
研究分担者 |
後藤 雄一 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長 (20225668)
|
キーワード | マウスmtDNA / mtDNA突然変異 / ミトコンドリア移植 / 病態モデル / ミトコンドリアVRNA |
研究概要 |
人工的に突然変異を生じさせた遺伝子を核DNAに導入する技術が開発され、さらにこれを応用して、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスを作製することにより核DNAに存在する遺伝子の研究は飛躍的進歩を遂げつつある。これに対し核外ゲノムであるmtDNAに関しては、従来の方法ではDNAを核には導入できてもミトコンドリアには導入することができないため、特に哺乳類においては下記のような基礎的な遺伝学的情報すらこれまで皆無に近い状況であった。 (1)mtDNAの突然変異が各組織にどのように分配されるのか、(2)それは次の世代へどのように伝達されるのか、(3)生命現象に与える影響はどのようなものか、(4)さらにmtDNA間で組み換えは起こるのか、(5)ミトコンドリア間に物質交換や相互作用は存在するか。 申請者らは、ごく最近、マウスの体細胞に微量に存在した突然変異mtDNAを大量に持つ細胞株を樹立し、更にそのミトコンドリアをマウスの受精卵に導入することにより、世界で初めて突然変異mtDNA導入マウス(ミトマウス)の樹立に成功した。この成果は2000年10月号のNature Genetics誌にArticleとして掲載され国際的にも大きな反響を呼んだ。これは本申請の最終目的でもあり、最終年度に間に合わせることができた。 今年度、このミトマウスを用いることにより、(5)ミトコンドリア間に物質交換や相互作用は存在するか、という問題に明確な解答を得ることができた。それはミトコンドリア間には相互作用が存在し、そのことにより突然変異型の蓄積による呼吸欠損の発生を最大限防いでいるという重大な発見で、この論文は2001年7月号のNature Medicine誌と2001年9月号のNature Genetics誌に掲載され、ミトコンドリア研究者の間で大きな反響を呼んだ。
|